明治安田生活福祉研究所は6月11日、「25~44歳の子育てと仕事の両立」に関する調査結果を発表した。調査は今年3月に行い、1万2221人から回答を得た。
子どもがいる既婚女性に、第1子の妊娠・出産を機に離職した理由を聞いたところ、最も多かったのが「子育てをしながら仕事を続けるのは大変だった」(52.3%)で、半数を超えた。
また、子どもがいる既婚女性に末子が中学生以降の理想の働き方を質問すると、「正社員フルタイム」と回答した人が約4割に上ったが、実際にその働き方ができている女性は約2割しかいない。
女性活躍が叫ばれるが、子育てなどをきっかけに正社員のポストを手放してしまうと、戻るのは容易ではない。復職しやすい制度設計を進めるなど、課題は残る。
夫は実際以上に「家事育児をやっている」と思っている
女性が離職を選ぶ背景には、家事育児の負担の大きさがある。夫婦が正社員共働きの場合、理想とする「夫が担当する家事・子育ての割合」は、男女ともに「5割」が最も多く、平均が4割だった。
実際の夫の負担具合を見ると、夫側は平均で「3.4割分は負担している」と思っているのに対して、妻は「2.5割分しかやっていない」と回答。夫婦間で認識にギャップがある。夫婦における家事育児の負担は、妻の雇用形態が非正社員、専業主婦になるにつれて大きくなる。これでは「子育てしながら働くのは大変」と感じ、仕事を続けることに消極的なるのは無理もない。
妊娠や出産で心身の変化を経験する女性は、状況に応じて柔軟な働き方をしたいという気持ちが強い。未婚者・既婚者を問わず、「正社員でフルタイム勤務」をしたいと思う時期は「結婚から第1子出産まで」が5~6割と一番多い。末子が未就園児の時期には「専業主婦」の希望者が多く、中学生以降になると「正社員でフルタイム勤務をしたい」と思う女性が増える。
勤務先には「勤務時間や日数に融通をきかせてほしい」
子どもがいる既婚者に「両立のために既婚者が望む勤務先等への制度」を聞くと、女性は「子育てのための勤務時間・勤務日数の短縮措置等」(53.2%)や「保育料補助等の支給・増額」(33.1%)、男性は、「扶養手当等の支給」(35.3%)や「保育料補助等の支給・増額」(31.3%)という回答が上位に挙がる。女性は「働く時間の融通」、男性は「金銭的な援助」を求める人が多い。
また育児中は保育園送迎や、子どもの急病などで定時勤務が難しいケースがある。そのため、仕事と育児の両立には制度の充実だけでなく、職場のサポートも欠かせない。「理解や協力をしてくれる人は誰か」を聞くと、「子育て経験のある上司や同僚」という回答が一番多い。自分の子育て体験から、「持ちつ持たれつ」の考えが強いためだと思われる。