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K-HIPHOPに新たな動き lute × Hi-Lite Records、業務提携の狙いは?

2018年06月21日 08:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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 K-HIPHOPが、日本でもさらに盛り上がりそうだ。韓国のヒップホップ専門レーベル<Hi-Lite Records>(ハイライト・レコーズ)が、日本初のInstagram Storiesメディア「lute / ルーテ」やYouTubeチャンネルを展開するlute株式会社と業務提携を行うことを発表した。<Hi-Lite Records>は、ラッパーのPaloaltoが「ローカル文化の活性化とアンダーグラウンドの発展」とのスローガンを掲げて、2010年4月に設立。Huckleberry P、Reddy、G2、Sway D、YunBなどを擁し、韓国のアンダーグラウンドを代表するレーベルとして知られている。


参考:K-HIPHOPが今世界市場で注目される背景は? Jay Parkと2 Chainzコラボまでの歴史を追う


 同レーベル所属のラッパー全員が参加した楽曲「Break Bread」は、luteがMV制作をサポートするなど、すでに両社による取り組みは行われてきたが、今回の業務提携でさらに関係性が深まりそうだ。lute株式会社代表の五十嵐弘彦氏に、改めて業務提携のきっかけとその狙いを聞いた。


「弊社では、昨年くらいから韓国の音楽シーンに注目していて、様々なアーティストやレーベルにアプローチはしていました。もともと弊社はMVなどの映像制作を得意としていたので、そういった部分で力を合わせて新しいものを生み出せるパートナーを探していたのです。そんな中、今年2月に縁があって、<Hi-Lite Records>の来日公演のサポートを行わせていただくことになりました。そのイベントはとてもうまくいって、その際に先方の代表であるPaloaltoをはじめ、アーティストたちともお話したところ、彼らは日本での活動に非常に高い意欲を持っていることがわかりました。しかしながら、彼らが描こうとする世界観をうまく日本に紹介するきっかけが、なかなか得られなかったそうです。それなら、イベント単位でサポートするだけではなく、もっと様々な面で協力し合う関係を築いていければと、今回の業務提携に至った次第です。<Hi-Lite Records>としても、今後の日本における活動をすごく楽しみにしているとのことでした」


 韓国のレーベルと今回のような業務提携を行うのは、日本の音楽シーンにおいても珍しい事例と言えそうだ。しかし、五十嵐氏は「日韓での共同事業という意識はあまりない」と続ける。


「今回、<Hi-Lite Records>と業務提携することで、国内に彼らの音楽を伝えたいという意識は当然あるものの、我々が志向しているのはあくまでもグローバルスタンダードでクールだと思えるコンテンツを制作することです。日本と韓国はロケーションが近いために協力しやすいとの事情もありますが、何より<Hi-Lite Records>の提供しているコンテンツが素晴らしかったことが、今回の業務提携に至ったポイントです。彼らと協力することによって、世界で通用するコンテンツを発信していくことができれば」


 今後、日本のヒップホップシーンとの接点が生まれる可能性はあるのだろうか?


「日本のシーンと韓国のシーンを繋げたいとか、そういう意識は特にありません。しかし、日本にも当然、素晴らしいアーティストがたくさんいますので、グローバルな視点で考えたときに、一緒にやることで良いコンテンツが生み出せそうであれば、その可能性もあると思います。我々の活動に賛同してくれる日本のアーティストがいるのであれば、それはシンプルに嬉しいことですね」


 なお、luteと<Hi-Lite Records>は今後、イベントなど様々な取り組みを企画しているとのこと。今回の業務提携によって、K-HIPHOPをさらに身近に感じることができそうだ。(松田広宣)