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全日本ロード:SUGOで見せたホンダ高橋巧の戦闘力。ヤマハ中須賀と「勝負できるレベルにきた」

2018年06月19日 20:11  AUTOSPORT web

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レース2で終盤まで背後にぴたりとつけて中須賀を追った高橋巧
4戦目を迎えた全日本ロードレース選手権シリーズ。宮城県柴田郡のスポーツランドSUGOで行われた第4戦でJSB1000クラスは2レースが開催され、両レースで中須賀克行(ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チーム)が優勝を飾り、高橋巧(チームHRC)が2位となった。高橋巧は中須賀とヤマハに「勝負できるレベルにきた」と語る。

 2レース制で行われた全日本第4戦は、土曜のレース1、日曜のレース2ともに中須賀が優勝し高橋巧が2位という結果となった。このリザルト順は、2018年シーズンで実に5度目だ。

 結果だけで言えば、高橋巧がいまだ中須賀の後塵を拝していると見える。しかし特にレース2で、高橋巧は中須賀に終盤まで食らいついた。

 土曜に行われたレース1はどんよりと雲が立ち込め、寒さを感じる気温のなかでスタートした。さらにはレース中に霧雨が舞う難しいコンディション。3番グリッドスタートの高橋巧は好スタート切ってホールショットを奪う。

 しかしすぐに清成龍一(モリワキMOTULレーシング)にトップを奪われ、さらにポールポジションスタートの中須賀がその清成を交わしてトップに躍り出る。高橋巧も2番手にポジションを回復して中須賀を追うが、その差はじわじわと大きくなり、中須賀がトップ、高橋巧が2位でのチェッカーとなった。

 レース1は事前にSUGOで行われた公開合同テストから好調だった中須賀が、勢いそのままに制したと言えるだろう。レース1後のトップ3会見で中須賀は、プッシュをしないと高橋巧が迫ると感じていたと言い、「無理して1分27秒付近で走ったら離すことができた」とコメントしているが、強さを見せたレースでもあった。

 一方の高橋巧は事前テストからタイムが伸び悩んでいたため、今大会でも「厳しい戦いになるだろうと覚悟していた」と言う。ただ、そのなかで2位表彰台を獲得できたことが自信になったようだ。

「正直、2位になるのは厳しいと思っていましたが、それが達成できたということは、マシンの方向性が間違ってはいないという確認ができたということでもある」と語っていた。

■ヤマハとホンダの両雄がレース2で見せた、テール・トゥ・ノーズの争い
 日曜に行われたレース2、高橋巧はその自信を持って一時は中須賀を追い詰めるかと思わせるレースを見せた。それは第2戦鈴鹿のレース2で見せたような、ホンダとヤマハのエース対決の再演を思わせるものだった。

 レース1と同じく好スタートを切った高橋巧は5周目までレースをリードしていたが、6周目のシケインで中須賀に交わされ2番手にポジションを落とす。そのままじりじりと差を広げられ、中須賀が独走態勢に入ることが多かったのがこれまでだが、このレースは違った。

 スタートでミスをしたというポールポジションスタートの中須賀は「2番手になってからトップの高橋巧選手の走りを観察していましたが、調子が良さそうだったので早めに仕掛けて自分のペースに持ち込もうと考えました」と早めに勝負に出た理由を明かしている。

 中須賀と高橋巧はファステストラップを更新しながら3番手以降を引き離し、周回を重ねた。

 これには中須賀も「自分自身もいいペースで走っていたのですが、巧選手はそれ以上のペースで走っていたので、ブレーキングだけはミスをしないようにと心がけました」と、高橋巧のペースのよさを感じていたようだ。

 中須賀の背後に付けていた高橋巧は、「マシンの仕上がりに関して安心感があったこともあり、序盤から積極的に攻めることができました」と、中須賀を逃さないよう追っていた。パッシングポイントを探りながらの走行で、「(中須賀選手は)すきがなく、ミスもないので、前に出るタイミングを探していました」と言う。

 17周目の1コーナーで高橋巧がオーバーランを喫し、再び中須賀に迫った22周目。高橋巧がバックストレッチでついに中須賀に並びかける。しかし馬の背コーナーへのブレーキングで止まり切れず、オーバーラン。ここで勝負は決した。

「追いついたタイミングがバックストレッチで、うまく止まれればと思って前に出ましたが、やっぱり止まれませんでした」と、レース2後のトップ3会見で語った高橋巧。そのまま中須賀、高橋巧の順でフィニッシュとなったが、これまでの2位とは違った手ごたえを握りしめたようだ。

「レース1よりは追い詰めることができ、勝負できるレベルにきたと思います」

 この高橋巧の言葉から、一度はオーバーランして築かれたアドバンテージを詰めて再び勝負をすることができるほど、中須賀とヤマハYZF-R1のパッケージに挑む戦闘力を感じていることがうかがえる。

 SUGOでシーズン6勝目を挙げチャンピオンシップでランキングトップをひた走る中須賀も、「ライバルは確実にポテンシャルを上げてきているので、こちらもさらに上を目指していきます」と油断を見せない様子。

 次戦第5戦はJSB1000の開催はない。7月末開催の鈴鹿8時間耐久ロードレースを挟み、8月にツインリンクもてぎで行われる第6戦2&4が、中須賀と高橋巧にとって次の決戦の場となる。中須賀と高橋巧、ヤマハとホンダの対決はまだまだ見逃せない。