6月16~17日に行われた第86回ル・マン24時間耐久レースでLM-GTEプロクラス8位でチェッカーを受けたアストンマーチン・レーシング(AMR)は「ル・マンで勝利するために必要な三要素のうち、ひとつが欠けていた」とレースをふり返った。
AMRが手がけた新型GTEマシンであるアストンマーチン・バンテージAMRは、AMR史上もっとも成功した1台とされるV8バンテージGTEの後継として製作されたモデル。2019年のカスタマー向け販売を見据え、2018/19年のWEC世界耐久選手権“スーパーシーズン”にLM-GTEプロクラスから参戦している。
開発段階では2度の30時間連続走行テストを含む1万3000kmを走破している新型バンテージAMRだが、決勝のレースペースではポルシェやフォードといったライバル陣営はおろか、LM-GTEアマクラスに対しても劣勢を強いられている。
ル・マン24時間ではレース直前にBoP(性能調整)により車両重量の削減、ターボ過給圧の引き上げ措置を受けたものの、マルコ・ソレンセン/ニッキー・ティーム/ダレン・ターナー組95号車がクラス首位から5周遅れのクラス8位、アレックス・リン/マキシム・マルタン/ジョナサン・アダム組97号車が17周遅れのクラス13位だった。
AMRのデビッド・キング社長は「ル・マンで勝つには3つの要素が必要だ。信頼性と、トラブルを回避する能力、そしてレースペースだ」と述べている。
「今年、我々にはふたつの要素は達成した。残るひとつについてはシーズン中に手にできるだろう。2台のバンテージGTEを作り上げ、チェッカーまで持ち帰ったチームスタッフを誇りに思うし、しっかりとポイントを獲得したレース戦略も評価する」
「我々は莫大な量の走行データを手にしており、これはテクニカルパートナーであるトタルやミシュランとともに、マシンの理解度を深めるのに役立つはずだ。この新型バンテージAMRのポテンシャルをフルに引き出し、2019年のル・マン24時間で優勝争いをするべく戻ってくる」
クラス8位を獲得した95号車は、6月3日のテストデーで大クラッシュを起こし、スペアシャシーで13日のル・マン公式練習に参加。そこから決勝レース終了まで、1度も信頼性にまつわるトラブルを起こさず、高い信頼性を発揮した。
そんな95号車の第3ドライバーとしてル・マンに参戦したターナーは「世界でもっとも重要で、もっともタフな耐久レースであるル・マンを完走することは、どんなときでも大きな成果だ」とコメントしている。
「どれだけ厳しいテストプログラムをこなしても、24時間に渡ってレースを戦うことは比べ物にならない。だから、レースを走りきれたことは満足できる結果だよ」
「レースペースについては、今後のシリーズ戦で改善することになるが、(ル・マン24時間がシリーズに2戦組み込まれている)スーパーシーズンというプラットフォームのおかげで、来年もクラス優勝に向けてバトルができる」