9月8日から東京・ポレポレ東中野で公開されるドキュメンタリー映画『いのちの深呼吸』の予告編が公開された。
自殺防止活動に取り組む岐阜・大禅寺の僧侶・根本一徹を追った同作は、根本の存在を雑誌『The New Yorker』で知り、根本に魅了されたアメリカ人の監督ラナ・ウィルソンが来日して3年半にわたって撮影。根本の活動を通して、若者の死因の1位が自殺である日本の社会問題を浮き彫りにしていく。挿入曲として坂本龍一がクリスチャン・フェネスとのコラボレーション曲を提供。監督のラナ・ウィルソンはデビュー作『After Tiller』で『エミー賞』を受賞している。
公開された予告編には、昼夜を問わず自殺志願者の話を聞き、彼らの元に駆けつける根本の姿や、「何をやってもダメって感じで」「一人だとダメっすね、俺」「死んじゃいけないと思っているんですけど」と根本のもとに届く自殺志願者の電話やSNSの投稿、根本が自殺防止活動を始めたきっかけについて「母親の弟が自殺したんですけれでも、どうして死ななきゃいけない理由があったのか」と語る様子、電話で「消えたほうがいいと思います」と話す相手に「死んでる場合じゃねえぞ」と根本が諭す場面などが捉えられている。
■坂本龍一のコメント
新鋭の女性監督、ラナ・ウィルソンは本作を通して「心に耳をひらく」ことの大切さを描きたかったのではないか。静かで強いドキュメンタリー映画だ。
■茂木健一郎のコメント
この困難な時代に、『いのちの深呼吸』は希望の灯火のような映画だ。
■春日武彦のコメント
ギブアップする場面があって驚かされた。その苦しげな表情。「死ぬ以外の選択肢」を、自ら体現してみせつつ真摯に向き合う以外に方法はないだろう。でも、それすら万能ではない。そんなことなど百も承知で、彼は戦い続ける。誰にも真似はできない。
■田中圭一のコメント
死への魅力に取り憑かれている人たちを救おうとする僧侶・根本さん。彼自身が、まだ悟りの途上にあって、生きることの意味を探っている。その苦悩も含めて「命」の在り様について深く考えさせられました。
■末井昭のコメント
死にたいと言う人を前に、何も言えない僧侶、しかし、連絡があれば駆けつける僧侶、困惑する僧侶、悩める僧侶、そんな僧侶を初めて見た。
■信田さよ子のコメント
自殺という重いテーマについて、監督は登場人物を美化せず赤裸々に描き出す。見る者に残されるのは、ひとは自分を救うために他者を救うのかという問いかけである。