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「仮面ライダー」出演俳優、訓練中に死亡 所属先は「労災保険」加入の珍しい事務所

2018年06月19日 10:52  弁護士ドットコム

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6月13日のスタント訓練中に意識を失い、翌14日に亡くなったアクション俳優の野邉大地さん(21)。「仮面ライダービルド」(テレビ朝日系)でアクションクルーを務めるなど、将来のある若手の死に業界が受けた衝撃は大きい。


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数少ない慰めは、所属事務所のジャパンアクションエンタープライズ(JAE)が、労災保険に加入していることだ。JAEは、弁護士ドットコムニュースの取材に対し、「ご家族が労災を申請される場合はできる限り協力したい」と回答した。


俳優などの「実演家」は個人事業主であるため、長らく労災の対象外だと考えられてきた。厚労省は近年になって、「労働者性」が認められれば、実演家にも適用されるとの見解を示すようになったが、実際に加入している事務所はまだ少ない。


現状では、撮影中のけがなどについては、映画会社の傷害保険で対応したり、放送局が都度、治療費などを支払ったりする対応が多く取られているようだ。


一方、JAEの担当者によると、同事務所では数十年前から労災に入っているという。日本俳優連合(日俳連)で、実演家の労災問題に取り組む高瀬将嗣氏は次のように語る。


「JAEは、アクション業界では最も早く労災保険料を納めた配慮あるプロダクションです。JAEにならって、労災保険料を納付するアクション・スタントチームが増えてきました。ただ、一般のプロダクションは保険料出費を回避するため、事業者の立場を取らない傾向にあります」


JAEによると、この訓練は事務所が主催する年1回のスタントマン合宿で、希望した俳優30人、指導者15人が参加。野邉さんは高所から地面に敷いたエアマットに背中から飛び降りる訓練で、ホテル5階の外階段(高さ約15m)から飛び降りたあと、足元がふらつき、意識を失ったという。警察が訓練方法や安全管理に問題がなかったかを調べている。労災適用に当たっては、合宿の位置づけや訓練内容と死の因果関係などが影響しそうだ。


(弁護士ドットコムニュース)