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けやき坂46、東京女子流、Maison book girl、わーすた、フェアリーズ…グループの個性際立つ新作

2018年06月19日 10:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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 欅坂46の妹分的存在であるけやき坂46の1stフルアルバム、再スタートを切った東京女子流のニューシングルなど、いまチェックすべきグループの新作を紹介。それぞれのグループの現状、メンバーのキャラクター、将来的なビジョンなどを楽曲のなかで昇華させる作家陣の手腕にもぜひ注目してほしい。


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■けやき坂46『走り出す瞬間』
 今年はじめに日本武道館3daysを成功させ、単独のテレビ番組もスタートするなど、着実にスケールアップしてきた“ひらがなけやき”の1stフルアルバム『走り出す瞬間』には“欅坂46のアンダー”から始まり、現在のポジションを獲得するまでのプロセスが生々しく刻み込まれている。「誰よりも高く跳べ!」「それでも歩いてる」「永遠の白線」といった人気曲に加え、初収録の新曲も充実。ノスタルジックなアイドルポップのスタイルを踏襲したサウンドと〈誰よりも自分のこと/わかってないんだ〉というラインが絡み合う「期待していない自分」、切なさと力強い意志を共存させたメロディとともに“夢を叶える日まで一緒に歩いてほしい”というメッセージを響かせる「約束の卵」といった楽曲からは、王道と個性を兼ね備えたこのグループのアイデンティティが伝わってくる。


■東京女子流『kissはあげない』
 メンバーの脱退、路線変更などを繰り返しながら、今年から“お姫様になれなかった私達の、続きの話。”をテーマにリスタートを切った東京女子流。通算25作目のシングルとなる本作『kissはあげない』には、80年代シティポップと00年代エレクトロをナチュラルにつないだポップナンバー「kissはあげない」、近未来的なサウンドメイクと〈キスひとつでせかいを変えたいわ〉というドリーミーなフレーズがひとつになったアッパーチューン「キスひとつで」を収録。正統的なアイドルポップをさらに進化させたアレンジ、“キス”で括られた歌詞を含め、現在の東京女子流の方向性を明確に示した作品と言えるだろう。キュートネスと小悪魔的ムードをバランスよく融合させたメンバーのボーカルも魅力的だ。


■Maison book girl『elude』
 変拍子、不協和音などを取り入れたサウンドメイク、コンテンポラリーダンスの要素を感じさせる振り付け、芸術性を追求したアートワークなどにより、アイドルシーンにおいて特異な存在感を放っているMaison book girlのニューシングル『elude』。リード曲「レインコートと首の無い鳥」は10拍子のトラックを軸にしたトリッキーかつエッジーな(つまり、きわめてブクガらしい)楽曲に仕上がっている。“忘れることを覚えた服”をテーマにしたMVの衣装、スクールカーストを想起させるオーディオドラマ「教室」(M3)はじめ、「elude」(=“逃れる”“忘れる”)というコンセプトに貫かれた作品全体の世界観を多角的に味わうのが正しい鑑賞法だと思う。


■わーすた『JUMPING SUMMER』
 「“アイドル×ゲーム×漫画・アニメ”という日本のカルチャーを凝縮させた音楽アイドルグループ」を標榜する、わーすたのミニアルバム『JUMPING SUMMER』。リードトラック「タピオカミルクティー」はSHIROSE(from WHITE JAM)、工藤大輝(from Da-iCE)の共同制作で、ファンク、ソウルミュージックのテイストと王道アイドルポップを結合させた楽曲に仕立てている。“タピオカミルクティー”をモチーフに夏の恋愛を映し出す歌詞もインパクト十分。その他、みきとPの作詞・作曲によるロックナンバー「PLATONIC GIRL」、2次元と3次元を行き来するようなグループのコンセプトを捉えたポップナンバー「プリティー☆チャンネル」などテンション高めの楽曲を収録。


■フェアリーズ『JUKEBOX』
 高いダンススキルとボーカル力、親近感のあるグループ性によって10代の女子を中心に支持を拡大しているダンスボーカルグループ・フェアリーズ。「Kiss Me Babe」(2015年)から「HEY HEY~Light Me Up~」(2018年)までのシングル7曲を収めた2ndアルバム『JUKEBOX』は、この3年間の成長の軌跡が感じられる内容になった。ファンキーなギターカッティングを軸にした「Bangin’」、エレクトロ、ヒップホップなどのテイストをカラフルなポップスに結びつけた「Fashionable」、トロピカルハウス系のサウンドとともに未来への思いを歌い上げる「ALIVE」など新曲5曲も収録。ダンサブルなトラックと等身大のメッセージがナチュラルに共存している。(森朋之)