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ストレイテナーの音楽によるコミュニケーション 『Future Dance TOUR』初日公演を見て

2018年06月19日 08:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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 今年で結成20周年を迎えたストレイテナーが6月12日、東京・Zepp DiverCity TOKYOにて全国ツアー『Future Dance TOUR』の初日公演を行った。


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 セットリストはもちろん、5月にリリースされた通算10枚目の最新アルバム『Future Soundtrack』を中心に、新旧さまざまな楽曲を満遍なく配置。まだツアーが始まったばかりなので詳細を記すことは控えるが、コアなファンから最近ファンになったビギナーまで、一緒に楽しめる内容となっている。


 例えばメジャー3枚目のシングル曲で、ライブではお馴染み「KILLER TUNE」のイントロが鳴り始めると、フロアは一気にヒートアップ。音源ではシンプルな、90年代ローファイ~オルタナ的サウンドだったこの曲だが、ステージを重ねるごとに進化を遂げ、ナカヤマシンペイのタイトな四つ打ちキックの上で、オートワウをかました日向秀和のベースが唸るファンキーなアレンジとなっていた。まるで宙を切り裂くように、ザクザクとエレキギターをかき鳴らしながらシャウトするホリエアツシのボーカルは、最新作でも感じたのだが非常にエロティックだ。後半は目の眩むようなストロボの中、大山純のギターと日向のベースが交互にソロを取り、フロアを大いに沸かせていた。


 「改めまして、俺たちストレイテナーっていいます。今日はアルバムから、初めてやる曲ばかりだけどついて来れるか?」とホリエが呼びかけ、大きな声でそれに応えるオーディエンス。実際、すでにアルバムを聴き込んで来た人たちばかりで、新曲が演奏されるたびに歓声が上がり、サビを一緒に口ずさむ人たちの姿が多かった。例えば、逆回転ギターのループに導かれ始まる「タイムリープ」では、Bメロの掛け合いコーラスをシンガロング。EDMの要素を取り入れたユーフォリックな楽曲「The Future Is Now」では、まばゆい光に包まれながら、両手をかざし踊る人々でいっぱいだった。


「ここから上げてくんですが、ついて来れますか!」


 ホリエがそう呼びかけ後半戦へ。メジャー5枚目のシングル曲「Melodic Storm」をはじめ、アップチューンを次々と繰り出していく。日向も大山も時おりステージの端まで移動し、まるでファンと会話をするかのように笑顔で目配せしたり、手を振ったりしている。そうかと思えば、ドラムセットを中心に4人がぎゅっと集まり、顔を見合わせながら楽しそうにキメを合わせる。そう、ストレイテナーにとって音楽はコミュニケーションなのだ。


 「20周年イヤーはまだまだ続きます。色んなところでライブをするので、色んなところで会えたら嬉しいです」とホリエが挨拶し、初日のステージは無事に幕をおろした。


 最新作『Future Soundtrack』は、ストレイテナー史上もっともソング・オリエンテッドなアルバムと思っていたが、こうして過去曲の中で聴くとそのことがよりはっきりと分かった。メロディもフレーズの一部となって、激しくせめぎ合うようなこれまでの楽曲に比べると、今作はまずホリエのボーカルとメロディを引き立てるアレンジになっているのだ。


 この日の終演後には、10月17日にファン投票で選曲を決めるベストアルバムをリリースすること、来年1月19日に幕張メッセ イベントホールにて『21st ANNIVERSARY ROCK BAND』を開催することが発表された。20周年を迎えた彼らは今後、どのような方向へと進んで行くのか。そんなことにも思いを馳せた一夜だった。(黒田隆憲)