トップへ

WEC:70周年のポルシェが1-2でル・マン制圧。マコウィッキ「フォードとのバトルは最高だった」

2018年06月18日 15:21  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

ピンク・ピッグカラーを纏った92号車ポルシェ911 RSR
6月16~17日、フランス、ル・マンのサルト・サーキットで『第86回ル・マン24時間レース』が行われ、4台体制でこのレースに臨んだポルシェGTチームの92号車ポルシェ911 RSR(ミハエル・クリステンセン/ケビン・エストーレ/ローレンス・ファントール組)と91号車ポルシェ911 RSR(ジャンマリア・ブルーニ/フレデリック・マコウィッキ/リヒャルド・リエツ組)が、LM-GTEプロクラスでワン・ツー・フィニッシュを飾った。

 2018年でスポーツカー誕生70周年を迎えるポルシェは、WECで活躍する91号車、92号車ポルシェに加えて、北米のIMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップを戦う911号車と912号車を、それぞれ93号車と94号車ポルシェとして欧米6メーカーのワークスチームが争うル・マンの“激戦区”、LM-GTEプロクラスにエントリー。ライバルとなるフォード・チップ・ガナッシ勢と同数の4台体制でアニバーサリーイヤーの栄冠獲得を狙った。

 4台のポルシェ911 RSRにはル・マン総合優勝者を含むポルシェワークスドライバー12名が乗り込むことで話題を集めたが、このレースウイークに何よりも注目されたのは、1971年のポルシェ917/20に採用された“ピンク・ピッグ”と、1980年台に活躍したポルシェ956/962Cなどで見られた“ロスマンズカラー”の復活だろう。

 予選でフロントロウを独占したロスマンズカラーの91号車ポルシェと、全身ピンクで愛らしい姿となった92号車ほか2台の911 RSRは、レース直前のBoP変更によって10kgの追加ウエイトを課されるも、16日(土)15時にスタートが切られたレースでは持ち前のスピードを発揮する。

 スタートからトップ2を守る2台のポルシェは、3時間35分過ぎに入ったセーフティカー(SC)ランによって大きくクラス順位がシャッフルされる混乱を乗り切り、レース序盤からワン・ツー体制を維持していく。

 レースのリスタート後、トップに立った92号車ポルシェが2番手以下に対するリードを大きく広げるなかで、2番手となった91号車ポルシェは68号車フォードGTと長時間に渡る壮絶なクラス2番手争いを展開。コース上での抜きつ抜かれつの好バトルや、同時ピットストップによるチームクルー同士の戦いを経て、この名勝負はスタートから21時間過ぎに91号車ポルシェのリード拡大によってようやく決着した。

 この結果、ポルシェは92号車と91号車911 RSRによって2013年以来のLM-GTEプロクラス優勝をワン・ツー・フィニッシュで達成。また、ポルシェはLM-GTEアマクラスでもデンプシー-プロトン・レーシングの77号車ポルシェ911 RSRがクラス優勝を飾った。このふたつのクラスでの勝利は、2017年に導入された新型『ポルシェ911 RSR』にとってWEC初優勝となっている。

「ポルシェにとって完璧な週末となった。我々の記念すべき年にこれ以上のことを望むことはできない」と語るのはポルシェAG会長のウォルフガング・ポルシェ博士。

「このような成果を実現したドライバー、チーム、そして全スタッフに『おめでとう』と言いたいね。そして彼らをとても誇りに思うよ」

 また、ポルシェモータースポーツおよびGTプログラム担当副社長のフランク・シュテファン・バリザー博士も今回の勝利を「感動的な結果」と評し、「ふたつのクラスでの優勝は創立70周年にぴったりの贈り物である」と喜びを語った。

 優勝した91号車ポルシェのケビン・エストーレは「今日は僕の人生で最高の一日になった! 僕たちは世界でもっとも難しいレースで勝利を勝ち取ったんだ。この感動は言葉にできないほどだね」とコメント。

 チームメイトのクリステンセンもまた「何を言うべきか分からない」と感動に浸りながら「僕たちのクルマは最初から速かった。セーフティカーが出た段階で少し幸運が巡ってきたおかげで(ライバルに対して)リードを広げることができたんだ」とレースを振り返っている。

 一方、フォードGTとの激戦を制し、ワン・ツー・フィニッシュ達成の一躍を担った92号車ポルシェのマコウィッキは「クルマはとても速かったが、単純に91号車のペースに追いつくことができなかった」と語った。

「(僕のスティントでは)1時間以上にわたってフォードGTと2番手を激しく争った。レーシングドライバーとして、あのバトルは最高に楽しかったよ! 今年は優勝争いに加われなかったけど、2019年は“勝つために”またル・マンに戻ってくるよ」と早くも来年にレースを見据えている。