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岩田剛典×戸田恵梨香、抜群の相性を発揮! 『崖っぷちホテル!』最終話から感じたキャスト陣の絆

2018年06月18日 12:22  リアルサウンド

リアルサウンド

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 日曜ドラマ『崖っぷちホテル!』(日本テレビ系)が6月17日に最終話を迎えた。多額の借金を抱え、威厳0の総支配人やくせ者揃いの従業員の存在でまさに崖っぷちだったホテル「グランデ インヴルサ」。しかし最終話では、その崖っぷちに立たされていたかつての面影はなく、連日人が訪れる話題の老舗ホテルとして生まれ変わっていた。


参考:『崖っぷちホテル!』岩田剛典、クランクアップ! 最終回は「ハンカチを用意して待っていて」


 注目すべきは、主演を務めた岩田剛典と戸田恵梨香である。今作は2人の演技が見事にハマったドラマだったと言えよう。


 岩田が演じた宇海は「ワクワクしませんか」という名台詞とともに、くせ者揃いの従業員たちにさまざまな課題を与える、自由すぎる副支配人である。しかし宇海の課題は、どれもお客様を第一に考えた課題ばかりで、従業員たちは少しずつ一流のホテルマンとして成長していく。


 岩田は今作が連続ドラマ初主演だ。「妖精さんをイメージした役作り」と話す岩田の伸び伸びとした演技は、つかみどころのない宇海の自由奔放さを体現していた。ニコニコと笑顔を絶やさない宇海だったが、第9話では彼の過去が明かされ、過去の大失敗に対する不安を抱えて不穏な表情を浮かべる、彼の人間らしい一面が表れた。そして最終話、彼は「グランデ インヴルサ」を離れることを決断する。この回では、宇海の本心が明かされる。


「わたしはホテルマンです。お客様が第一です。でもわたし、皆様のことが、お客様より大好きになっちゃったんです」


 いつもひょうひょうとして笑顔を絶やさない宇海が涙を流した。感情をむき出しにして従業員たちと向き合うシーンは、視聴者も感情を揺さぶられたに違いない。岩田の流した涙はとても自然に見え、ホテルを去ることに決めた宇海の強い決意とホテルを去りたくないと思ってしまう彼の本心が伝わった。またこのシーンは、宇海と従業員たちの絆を感じるだけでなく、このドラマ現場自体のチームワークも感じられるものだった。番組公式サイトのインタビューでは、岩田だけでなく他のキャスト陣も、和気藹々とした現場の雰囲気やチームワークについて言及している。演技に取り組みやすい雰囲気が、岩田に自然な涙を流させたのかもしれない。


 威厳0の若き総支配人・佐那を演じた戸田恵梨香も、第1話から第10話にかけて見事な変貌を遂げていた。


「ここ(グランデ インヴルサ)を夢の場所にしたい」


 第1話から一貫して、佐那の信念は揺らいでいない。しかし第1話では、兄の残した多額の借金や昔からいる従業員との関係性、自信のなさが露わになっていた。そんな佐那も、徐々に総支配人らしく威厳ある人物へと変化していく。


 第1話の佐那はどこか頼りなかった。彼女のまっすぐな目が、内に秘めた強さを感じさせるも、どことなく自信のなさが垣間見えていた。しかし第10話では、まっすぐな目を従業員一人ひとりに向け、「宇海がホテルから去ることを了承した」という決断を従業員たちに伝える。戸田は、涙を浮かべながらも、総支配人として決断を下す佐那の強さを演じきった。彼女の信念を汲み、従業員たちもその決断を了承する。宇海が去った後の「グランデ インヴルサ」で、佐那は凛とした姿を見せた。一流ホテルマンとしてお客様と接している彼女に、自信のなかったかつての面影はない。


 連続ドラマ初主演の岩田と、数々の作品に出演してきた戸田。彼ら自身のキャリアと役柄が見事にマッチしたドラマだった。


 佐那というキャラクターは、一貫した信念を持ち“内に秘めた強さ”を感じられるキャラクターだ。しかし彼女の置かれていた現状が、それをあらわにさせてくれなかった。話が進むにつれ、徐々に表れてくる総支配人としての威厳。回を追うごとに成長していくのが分かる細やかな演技を、戸田は見事に演じきった。女優としてのキャリアが長い彼女だからこそできた演技であろう。


 そんな彼女がいたからこそ、岩田は安心して、肩の力が抜けたのびのびとした演技をできたのではないだろうか。「ワクワクしませんか」と従業員を振り回す宇海は、実に魅力的なキャラクターだった。岩田の無邪気な笑顔を見ていると、思わずこちらも「ワクワク」してしまう。このドラマは、岩田の演技の伸びしろを感じさせるものだった。今後の出演作にも期待が高まる。


 毎週日曜日、たった1時間の「宿泊」を楽しむことはもうできないが、痛快な大逆転劇は「月曜日からの一週間を元気に過ごそう」と思えるものだった。これからも「ワクワク」するものを追い求めて、日々を過ごせそうだ。(片山香帆)