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佐藤勝利は未来に向かって歩き出した 仕事への向き合い方を示した『Missデビル』

2018年06月17日 12:51  リアルサウンド

リアルサウンド

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 ついに最終回を迎えた『Missデビル 人事の悪魔・椿眞子』(日本テレビ系)。放送開始当初は文字通り悪魔のように描かれていた椿眞子(菜々緒)も、最終回では信念を貫いて仕事に向き合っていたことが判明。そしてそんな上司の下で仕事をすることで、斉藤博史(佐藤勝利)は社会人として成長していった。


参考:Sexy Zone 佐藤勝利のメモリアルな作品に? 『Missデビル』“新入社員”役がハマる理由


 2人の出会いは完全に敵としてのものだった。椿に対し不信感を抱きながらも部下として働く博史だが、研修先で起こる問題に対処できず、結局は椿が問題を解決するというのがお決まりのパターンとなっていた。しかし、終盤に近づいていく辺りから、博史が勇気を振り絞った行動を取るようになってきた。第1話で博史が椿と対立するシーンは、“友人を守りたい”という思いからの行動だったが、最終回で描かれたのは、“会社、仕事のために”という思いからだった。


 もともと弱気ではあるが正義感が強かった博史が、働いていく中で会社を好きになっていった故の行動だ。ホテルアックスの保険金不払いを認め開き直った大沢友晴(船越英一郎)に対し「証拠にならないとか罰せられないとかじゃなくて、あなたがしたことによって辛い思いをした人がいるんですよ」と声を荒げた。


 これまでの研修で博史はそれぞれの人たちの仕事への思いを見てきた。働きたくても思うように働けない人や、逆にやりたくないことをやらされている人。そして南雲陽一(前田航基)のように会社を辞めたことによって幸せを掴んだ人など、仕事と人生の密接な関係を人事部という立場を通して直に学んできた。そのため、本来は人のために動くはずの保険会社が、金のために仕事をしてしまったという事実を博史は許せなかったのだろう。


 立て続けに起きた不祥事によって共亜火災は存亡の危機を迎える。大沢は全てを公表し、自分1人が責任を取ることで会社への被害を最小限に食い止めようとした。そして伊東千紘(木村佳乃)が社長へと就任、人員も10分の1まで縮小し新たなスタートを切ることとなった。


 倒れた喜多村完治(西田敏行)へ挨拶に訪れた椿と博史。椿は喜多村がずっと知りたがっていた父の話をする。共亜火災に殺されたといってもおかしくない父親のことを椿は「父は愛情と喜びを持って仕事をしていました。人がそういった場所に巡り会えたことはとても貴重でとても幸せなことです」と思いを打ち明けた。


 博史はそんな共亜火災が自分にとって幸せな職場であると声を震わせながら、喜多村と伊東、そして椿に伝える。「好きな会社だからこそいい会社であってほしい」。まっすぐな目で語る博史の表情に新人の頃の弱々しさはなく、1人の立派な社会人となっていた。


 “人生の中で仕事をどう捉えるか”という誰もが持つ悩みに挑戦していった本作。最初は流されるがままだった博史は会社を好きになったことで次の一歩を踏み出すことができた。仕事について悩みを抱える社会人や、就職活動がうまくいかない就活生にとっても考えさせられる作品になった。


(馬場翔大)