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aiko、エレファントカシマシ、Ken YokoyamaとNAMBA69…“CDの強さ”示す最新チャートを読む

2018年06月16日 14:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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参考:2018年6月18日付週間アルバムランキング(2018年6月4日~2018年6月10日・ORICON NEWS)


 最近、音楽ファンの間でOTOTOY代表・竹中直純氏とunBORDE代表・鈴木竜馬氏による対談記事が話題になりました。そこでは鈴木氏の証言に基づき「今年になって急激にダウンロード販売の数字が落ちて、サブスクが伸びてきた」ことが明らかにされています。日本でもついにサブスク定着の兆し、ということですね。その事実を踏まえて今週の週間アルバムランキングを見ると、ちょっとびっくりします。一言で言うなら「CD、売れてるなぁ!!!」。


(関連:aikoの「ストロー」は新たな代表曲に? クセになるフレーズが生み出す効果を考える


 10位圏内中8組が初登場というフレッシュな顔ぶれですが、おしなべて数字が強い。10位の松田聖子『Merry-go-round』が約1.2万枚、8位のKen YokoyamaとNAMBA69によるスプリット『Ken Yokoyama VS NAMBA69』が約1.6万枚、6位に登場した鈴木愛理の1stソロ『Do me a favor』は約1.9万枚。どれも発売週が違っていればチャート1位に輝いていても不思議はないのです。


 ここで「1万、2万枚程度でオリコン首位が取れちゃうのか」と鼻白む声もあるでしょう。その指摘自体は数年前から聞こえていましたが、前述のとおり、いまや本格的にサブスク到来かもしれない時代。「それでもCDを買う人がこんなにいるのか」と驚くほうがリアクションとしては正しい気がします。フィジカルが大事。まさに日本らしいカルチャーです。


 さらに上位を見ていきましょう。5位、声優・宮野真守のベストが約2.2万枚。4位はエレファントカシマシ『Wake Up』、約2.3万枚と健闘していますが、さらに強いのは3位のaikoでした。新作『湿った夏の始まり』は、約4.7万枚とさすがの人気を誇っています。これでも1位じゃないのが不思議なくらいですよね? 彼女より強いセールス力を見せつけたのは……2位のMAN WITH A MISSION、そして1位の三代目 J Soul Brothersでした。マンウィズの『Chasing the Horizon』はなんと約7万枚、三代目の『FUTURE』はさらに上を行く約18.1万枚。ひゃー、ほんとにCD、売れてるなぁ!!!


 さて。三代目とマンウィズは、時の人、今をときめく人気グループですが、エレカシは今年結成31年目のバンドであり、aikoもちょうど今年がメジャーデビュー20周年。また先に書いたKen YokoyamaとNAMBA69のスプリットにしても、Hi-Standardから数えれば20年超えのキャリアを誇るベテランのパンクバンド。CDというメディアが全盛期だった90年代にファンベースを掴んだ人たちが、いかにCD売り上げに強いか、ということが証明されています。


 もちろん音楽性が一貫していたことも大きい。エレカシ、aiko、ハイスタ。彼らの音楽に「時代と共に変わったよね~」という声は当てはまりません。厳密にいえば、エレカシが新作でレゲエに挑戦していたり、Ken YokoyamaとNAMBA69のスプリットに直球のメロディックパンクがなかったりするなど、細かい変化はあります。でも、イメージやメッセージ、ファン層はまったく変わらない。それどころか「そろそろ変化が欲しいな」ということすら感じさせないオリジナルの音や活動がある。そういう強さを持つアーティストは、今後のサブスク時代にも生まれてくるのか。よしんば生まれたとして、20年後も同じように支持されていくのか。そのあたりがまだ不透明な2018年現在です。(石井恵梨子)