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「クローゼットから札束がこんにちは」マルサが斬る悪質脱税、17年度は100億円分を告発

2018年06月15日 18:12  弁護士ドットコム

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悪質な脱税に切り込む「マルサ」(各地の国税局の査察部)が2017年度に刑事告発した脱税総額は、100億円だった。国税庁査察課によると、平成に入って最も少なく、最も多かったバブル期の6分の1ほどの水準にとどまった。タックスヘイブンなど海外の口座に資金が移され、把握が難しいケースが増加していることが背景にありそうだ。


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●告発が最も多かったのは「建設業」

告発が多かった業種としては建設業が26件で最も多く、不動産業が10件、人材派遣業が5件と続いた。2017年度中に一審判決があったのが143件で、全てに有罪判決が出され、そのうち8人に対して実刑判決が出された。最も重い実刑判決は懲役7年6カ月だったという。


悪質性が低く刑事告発に至らなかった脱税も含めると、脱税総額は135億円にのぼった(1件あたり8300万円)。この135億円という額は、統計を始めた1972年度以降で、3番目に低い水準だったという。


●浮いたお金で住宅や高級車を購入

国税庁が公表した事例を一部紹介すると、手口の一端が垣間見える。


インターネットでチケット販売をする業者は、他人名義でチケットの仕入れ販売を行い、売上代金を他人名義の口座に送金させるなどの方法で所得を隠していた。そして所得税の申告を行わずに、浮いたお金で高級外車を買うなどの行為をしていたという。マルサは、電子的記録を解析することなどを通じ、実態解明を進めた。


また、化粧品輸出会社が、実際には取引事実がないのに、仕入れと輸出をしたと見せかけて不正に多額の消費税の還付を受けていたことも確認された。脱税で得た資金の多くは、現金のまま床下やクローゼットに隠されていたり、住宅や高級会社の購入費用にあてられたりしていたという。


(弁護士ドットコムニュース)