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名和晃平がルーヴル美術館ピラミッドに巨大彫刻展示 「空位の玉座」表現

2018年06月15日 17:42  CINRA.NET

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名和晃平『Throne』2018, mixed media, h1040 w480 d330cm (sculpture size)
名和晃平がフランス・パリのルーヴル美術館ピラミッド内およびロスチャイルド館で作品展示を行なうことがわかった。

日仏友好160年を記念した企画『ジャポニスム 2018:響きあう魂』の一環で行なわれる同展示。ルーヴル美術館ピラミッド内では「権力」や「権威」をテーマにした巨大彫刻作品『Throne』を発表する。

7月13日から約6か月の展示期間中、ピラミッドの中央に浮遊する『Throne』は、「加速度的に進化を遂げるコンピュータや人工知能などが、やがて政治や経済に影響を与える絶大な力に置き換わるのではないか」という予感を「浮遊する空位の玉座」として表現した作品。「山車」の形態やそのルーツを考察しながら、紀元前のエジプトで始まったと言われる金箔貼りの技術と最新の3D造形システムを融合させるという。

名和晃平はルーヴル美術館での展示について「ルーヴル美術館には京都市立芸術大学の学生時代に初めて研修旅行で訪れました。特に古代美術や宗教美術に惹かれ、普遍性を持った彫刻の表現とは何か、を考えさせられました。一生に一度しかないような、ルーヴル・ピラミッドでの展示の機会を大切にしたいと思います」とコメントしている。

ロスチャイルド館では、7月14日から開催される長谷川祐子のキュレーションによるグループ展『深みへ‐日本の美意識を求めて‐』に参加し、泡と光のインスタレーション作品『Foam』をヨーロッパで初公開。絶えず湧き出る小さな泡が、次第に泡の集合体として有機的な構造を自律的に形成していく様子を表現する作品で、音楽家・原摩利彦とのコラボレーションによるサウンドスケープも展開される。

■名和晃平のコメント
元々この作品は江戸末期までに極度に発達した各地の山車のリサーチに始まり、文化庁の「2020年に向けた文化イベント等の在り方検討会」で提案したイメージを、2017年の春に銀座GSIXの蔦屋書店のオープンに合わせて、“Throne (g/p_ boy)”という作品として発表した経緯があります。その直後、ルーヴル美術館のピラミッドに新作を提案する機会に恵まれ、早速この作品のイメージを送ったところ、幸いにも採用され、形もコンセプトも新たに制作することになりました。ルーヴル美術館には京都市立芸術大学の学生時代に初めて研修旅行で訪れました。特に古代美術や宗教美術に惹かれ、普遍性を持った彫刻の表現とは何か、を考えさせられました。一生に一度しかないような、ルーヴル・ピラミッドでの展示の機会を大切にしたいと思います。

■増田宗昭(カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社代表取締役社長兼CEO)のコメント
銀座蔦屋書店をつくるとき、「アートと日本文化をテーマにした新しい蔦屋書店にふさわしい作品を制作していただけないか」とお願いした。名和くんは、日本古来の山車に想を得、最新テクノロジーを用いて、壮麗でクールな玉座に少年が座っている作品をつくってくれた。その玉座がさらに昇華し、ルーヴル・ピラミッドに浮かぶと聞いた。少年の姿は消えているという。権力の象徴たるピラミッドに空位の玉座が浮遊する--。名和くんの快挙に快哉を叫ぶとともに、意味深長な本作の佇まいをこの目で見たいと思っている。