2018年06月15日 10:52 弁護士ドットコム
ジャニーズ事務所は6月上旬、人気アイドルグループ「NEWS」のメンバー、小山慶一郎さんが昨年末、当時未成年だった女性と飲酒していたとして、一定期間、活動自粛すると発表した。また、その場に同席していた同メンバーの加藤シゲアキさんについては、厳重注意とするとした。
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6月7日発売の週刊文春や週刊ポストで報じられたことを受けて、ジャニーズ事務所は「女性から・・・(中略)・・・年齢を『20歳』であると告げられており、当日も、参加者の中に未成年が含まれているとは認識してなかった」と釈明している。
一方で、小山さんが「複数の参加者に対して掛け声に合わせて飲み物を飲むように促すような行為を行っていたことは否定できない」とした。飲食店に同席していた加藤さんについては、小山さんの行動を制止していなかったとして「反省を促す」ために厳重注意としている。
この女性は、当時19歳だったということだ。このくらいの年齢だと、身分証明書などで確認しないかぎり、「20歳」と偽られると、信じてしまう人も少なくないだろう。未成年者にお酒をすすめた場合、法的に問題あるのだろうか。呉裕麻弁護士に聞いた。
「未成年者(満20歳未満)の飲酒については、『未成年者飲酒禁止法』という法律で規制されています。
まず、未成年者の飲酒が禁止されています。ただし、飲酒した未成年者自身に対する罰則はありません。
また、未成年者の親権者は、未成年者が飲酒していることを知った場合、これを制止しなくてはなりません。仮に、親権者が未成年者の飲酒を知りつつ、制止しなかったとなると、科料(1000円以上~1万円未満)の処罰となります。
酒屋や居酒屋など、お酒を販売・提供する営業者については、未成年者への酒類の販売や提供を防止するため、年齢確認などの措置をとる必要があります。また、未成年者に飲ませることを知って、お酒を販売・提供することは禁止されています。これに違反した場合、50万円以下の罰金を科されることになります。
このように、未成年者本人や親権者、営業者に対しては法律で、未成年者に飲酒をさせないようにするための規制がされています」
「一方で、単に、未成年者の友人というだけでは、未成年者の飲酒を阻止すべき法的義務はありません。
そのため、未成年者の友人が、未成年者にお酒をすすめたとしても、違法とはなりません。お酒をすすめた相手の年齢を確認すべき義務もありませんから、その未成年者が自分の年齢を『20歳以上』と偽っていた場合も同様です。
ただ、これらの義務はあくまで『法的義務』です。とりわけ、社会的立場のある人が、未成年者に飲酒をすすめることは『道義的』な問題が生じえます。また、未成年者かどうか判断に迷うような場合には、年齢確認をおこなうなど、慎重な配慮が求められるといえるでしょう」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
呉 裕麻(おー・ゆうま)弁護士
1979年東京生まれ。韓国籍。2006年に司法試験合格。岡山合同法律事務所に所属後、2013年に現事務所開設。人権問題、交通事故、男女トラブル、インターネット問題、企業法務等、幅広く活動中。
事務所名:弁護士法人岡山中庄架け橋法律事務所
事務所URL:http://kakehashi-law.com/