第86回ル・マン24時間耐久レースは6月14日、フランス、ル・マンのサルト・サーキットで予選3回目が行われ、セバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/フェルナンド・アロンソ組8号車トヨタTS050ハイブリッドがポールポジションを獲得した。3分15秒377というタイムを記録しポールを決めた中嶋一貴は、「ホッとした」と語りつつも、「予選は100%のうち、1%も満たないもの」と決勝こそ重要だと語った。
今季、ハイブリッド搭載車が2台のトヨタTS050ハイブリッドのみとなり、レース前から優勝候補の筆頭に挙げられているトヨタ勢。予選での見どころは7号車と8号車のどちらがポールポジションを獲得するかに注目が集まっていたが、アタッカーを務める7号車の小林可夢偉も、8号車の一貴も「トップか2番手にいられればいい」という考えを予選前には語っていた。それほど今季のトヨタにとっては、決勝での優勝こそが大事だということだ。とは言え、他のLMP1勢も2秒近いタイム差につけており、予選でしっかりとクリアラップをとることが重要だった。
そんななか、8号車トヨタはドライのまま迎えた予選3回目のコースオープン直後に一貴がステアリングを握りコースイン。「昨年もそうだったのですが、ピットレーンに並んでいると横から別のクルマが入ってきて、結局全員抜けずに終わるというのが昨日もあったんです。そこでなるべく早くピットを出ようとは思っていましたが、今回も3台分くらい前にいた。それでも普通に走って抜けたので良かったです」とクリアラップをとることに成功する。
「これほどのクリアはなかなかない」ほどのクリアラップをとった一貴は、3分15秒377にタイムを縮める。一方、7号車のステアリングを握った可夢偉はうまくクリアをとれずタイムを縮められず。最終的に8号車がポールとなり、一貴にとって2回目のル・マン24時間でのポール獲得となった。
「コンディションは昨日より良かったですし、タイムも伸ばすことができました。ポールポジションは嬉しいです。ただ、最も大事なのはレースです。予選は100%のうち、1%も満たないものだと思っています」とレース後の記者会見で語った一貴。これまでなかなか勝利に届かなかった過去を見据えてのもので、他クラスのポールシッターからも「カズキが語っているとおり……」というコメントが聞かれた。
「レースはとても長いですし、とてもタフなものになると思います。正直なところ、もう頭はレースに向けて切り替わっています。もちろんタイムを出せたときはホッとしましたけどね。フィーリングとしてはもう少しの部分もありましたが、まとめられたので良かったのではないでしょうか」
「レースはスタートから最後まで淡々といきたいとは思っていますが、淡々にいくほど簡単だとは思っていない。何が起こるか分からないと思っています。100%のうち1%……という表現でも大きいくらいだと思います」
「気持ちとしてはトップか2番手にいれればいいと思っていましたが、クルマのコンディションとしても内容としても良かったので、満足しています。他のふたりもフィーリングに関してはハッピーですし、似たようなフィーリングを共有しています」
注目のレースに向けて「今日まででできる準備はすべてできたと思っています」と語った一貴。注目のル・マン24時間決勝は、6月16日にスタートする。