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オンワードがステッチレスの新構造ダウン「ADS」を発表、中島篤や江角泰俊デザインのアイテムも

2018年06月13日 16:52  Fashionsnap.com

Fashionsnap.com

「ADS(Advanced Down System)」 Image by: FASHIONSNAP.COM
オンワード樫山が6月13日、独自開発技術を用いた「Advanced System」プロジェクトの第1弾として、新構造高機能ダウン「ADS(Advanced Down System)」を発表した。

 「Advanced System」プロジェクトは、トレンドに基づいたブランド展開を行うのではなく、オンワードが91年間で培った技術や開発力を活かして事業化していく構想。共通コンセプトを「TOKYO EDIT」とし、ファッションの選択肢を広げ都市で暮らす人々の原動力になる服づくりを目指すという。
 第1弾として今秋から展開する「ADS」は、特殊テープをキルトステッチの代わりに用いたステッチレスの高機能ダウンで、特許取得の技術を採用。縫い目のない特殊構造により衣類内部を空気が循環することでふっくらとした着心地を実現し、空気量が多いため薄くても暖かさを保つ。3つのラインを用意し、「23区」や「TOCCA」などウィメンズ11ブランド、「五大陸」や「J.PRESS」などメンズ6ブランドの計17ブランドでは「STANDARD」ラインを展開。「NEW GENERATION」ラインでは、今シーズンは外部からデザイナー 中島篤と江角泰俊を迎え、社内公募デザイナーのアイテムや、ストールやバッグなどの雑貨を加えラインナップする。自社ECやポップアップショップ、専門店への卸売などで展開する予定だ。また、来シーズンからは著名デザイナーやクリエイターとのコラボレーションライン「PREMIUM」や、ライセンス展開によるブランドビジネスも計画している。
 発表会で開かれたトークセッションでは、デザイナーの中島と江角がそれぞれ製作したアイテムについて解説を行った。中島のロングブルゾンは、ジップで開くフードや二重編みのリブなど、ミリタリーデザインを細部に落とし込んだ。江角は、ダウンの持つスポーティなイメージを覆すため、女性でも使いやすいようチェスターコートを製作。「Aラインのシルエットや軽さはADSだからできたもので、今後需要が増える技術では」(江角)と述べた。
 特許をブランド化する試みは同社としては初めて。昨年試験的にメンズブランドを中心に販売したADSのダウン約2万着は、70%程度の消化率だったという。ADSは既存の30代を中心とした顧客に加え、ECや海外ネットワークの活用による若年層や海外顧客の獲得を目指す。価格帯は「STANDARD」ラインは5万円前後、「NEW GENERATION」は8万円後半に設定し、売上目標は初年度25億円とする。「Advanced System」プロジェクトは今後、同社に蓄積されている技術や設計能力をもとに、ADS同様に機能を重視しつつデザインに落とし込んだ商品を発表していく予定だ。