成人年齢を現行の20歳から18歳に引き下げる改正民法が6月13日、参議院本会議で可決した。施行日である2022年の4月1日以降は、クレジットカードやローンの契約が、18歳から可能になる。
婚姻可能年齢が男女で統一されたり、公認会計士や司法書士の資格取得が18歳から可能になったり、様々な変化があるが、中でも注目されているのは成人式の開催時期だ。
18歳の1月だと「振袖レンタル料とか大学の入学金で親はエグいことになるのでは」
成人式は現在、各自治体が主催になり、その年度に20歳を迎える人を招待して行われている。降雪量の多い地域など一部自治体を除き、多くは1月の成人の日周辺で実施しているのが実情だ。
18歳を迎える年度の1月は、センター試験など進路選択に関わる重要なイベントが多い時期でもある。現在の慣習に倣い、成人する年度の1月に成人式を開催するとなると、成人式どころではない人も多くなるだろう。ネットでも、「高3の1月なんて受験シーズンでそれどころじゃないよ」と心配する声が多く出ている。
現在の成人式では、多くの女性が振袖で出席する。着物や小物の購入・レンタル、着付けや記念写真の撮影などを合わせると、数万~数十万かかることも珍しくない。新生活の準備と成人式のタイミングが重なると、金銭的な負担が一時的に大きくなることも懸念される。
「成人式も18歳なの?そうなると振り袖レンタル料とか、大学の入学金とかで親はエグいことになるのでは…」
「高校卒業前に成人式なの?高校生のうちに振り袖用意しないといけない?」
中には、
「いろんな理由で親に買ってもらえないから高校出たあと自分で働いて稼いだお金で振袖買ったりレンタルしたりって子けっこういると思うんだけど、18だと働ける時間もあまりないしきついよな」
という声もあった。
国は2020年以降、開催時期について一定の指針を示す予定
呉服業界誌を出版する「きものと宝飾社」の松尾俊亮編集長は、「成人式は20歳で実施する、現在の慣習を変えなくて良いのではないか」という考えだ。
「特に、着物が好きな親御さんや祖父母の方からは、娘に振袖を着させて祝いたいという声を多く聞きます。18歳の1月だと進路のことで手いっぱいになるから参加できない、成人式の実施時期は変えないでほしい、という思いが強いようです」
進路決定で慌ただしい1月を避け、開催時期を夏に変更したとしても、暑い時期に振袖を着るのは現実的に難しい。振袖の需要にも大きな影響が出る。
参議院本会議に先立ち6月12日に行われた法務委員会では、自民党の山田宏参議院議員から、成人式の開催時期について「国として一定の指針を示すべきではないか」という提案があった。川上陽子法務大臣は、
「平成31年度末までに関係者の意見や各自治体の検討を取りまとめた上で、平成32年度以降出来る限り速やかに適切に情報発信をし、実情に応じた対応が出来るようにする」
と回答している。