経済評論家の勝間和代さんが、6月11日放送の「バラいろダンディ」(TOKYO MX)で副業・兼業の極意を解説した。「夫婦ともに専業するリスク」を語り、「これからは、兼業禁止の会社には行かないほうがいい」などと薦めていた。
2017年、政府は働き方改革で「副業・兼業」原則、認める方針を示している。ソフトバンクや新生銀行、ユニ・チャーム、コニカミノルタなど次々と副業を容認する大企業も現れ始めている。(文:okei)
企業は「終身雇用で面倒見るのは終わり」と判断し始めている
勝間さんはこうした流れについて、
「終身雇用で面倒みるのは負担が大きすぎるので、『やらない方がデメリットが大きい』と企業側が判断したということ」
と解説。給料も上がらない、部課長などのポストもない、研修効果も上がらない中、社員が勝手にスキルアップや所得増加してくれるのは企業にとってもメリットというわけだ。同業他社とバッティングしない、情報漏えいしないならやっていいという流れになっているという。
勝間さんは様々な副業を挙げたが、「副業は夫婦で一緒にやるのがオススメ!」として、特に薦めたのが、勝間さんの友人が3億円の資産を作って本まで出したという手法だ。「これをやることによって一家の収入が2倍3倍になる」と断言している。
紹介したのは『いますぐ妻を社長にしなさい』(著:坂下仁/サンマーク出版)という本。本書で推しているのは「大家業」、つまり不動産経営だ。「夫に信用があれば銀行がお金を貸してくれて、主婦のスキルは大家さんに生かせる」のだという。
大家業について「素人でもできるが、手間暇がかかる。しかし、主婦はそういったことに長けている」と説明。たとえば、「部屋の配置や収納、水回りなど物件の良しあしを判断できる」、「世間話を通じて周辺環境や物件情報を収集できる」、「自ら掃除をするなど、家事力を物件の管理費節約に生かせる」など。これで本当に資産ができるなら「お金と心のゆとりが生まれ夫婦関係も円満に!」と薦めるのも分からなくもない。
ポイントは、「夫婦一緒に」!むちゃくちゃ努力は必要
良いことしかないように見えるが、勝間さんは「努力はむちゃくちゃ必要ですよ。単に大家さんだから(お金が)入るわけじゃないので、それを(夫婦)一緒にやる」と念を押した。
これは一つの例であり、ポイントは「夫婦2人で副業する」ということだという。確かに、夫は会社勤めで不在の時はともかく、雑務が膨大な大家業のすべてを妻に任せきりでは「夫婦円満」にはならないだろう。
勝間さんはさらに、専業のリスクを説く。これは夫と妻、両方に言えることで、「一つの企業に勤め続けるのは、つぶれたら終わりだし、専業主婦でも専業主夫でも『専業』というのはリスクが高すぎる」と忠告している。
「(稼ぐ担当の)夫や妻が稼げなくなったら終わりじゃないですか」
「なので、妻も夫も専業から抜けましょうということです。副業を視野に入れると、転職や就職がしやすくなりますので、兼業禁止の会社には行かないほうがいいです。これから」
と言い切っていた。
副業は、労働時間が長くなる、不動産経営は借金を負うリスクがあるなど、問題がないわけではない。そして日本ではまだ、「この道ひとすじ何十年」といった職人気質が尊ばれる傾向もある。だが、多くの労働者は「生きるため」に働いている。「ひとすじ」で生存が危うくなるなら、勝間さんの言う通り別の道を作っておく必要があるだろう。