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ユーモアと繊細さが高評価、動物モチーフの作品を披露した南方一が第92回装苑賞を受賞

2018年06月12日 18:53  Fashionsnap.com

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装苑賞を受賞した南方一とその作品 Image by: FASHIONSNAP.COM
日本を代表するファッションコンテスト「装苑賞」の第92回公開審査会が6月12日、文化学園遠藤記念館大ホールで開催された。装苑賞は、大阪を拠点にデザイナーとして活動する南方一が受賞。スワロフスキー製のトロフィーと賞金100万円、パリへの留学資格などが贈呈された。

 「装苑賞」は、日本初のファション界の新人賞として1956年に設立。これまで高田賢三や山本耀司など世界のトップデザイナーを輩出しており、審査員は岩谷俊和やコシノジュンコ、高島一精、田山淳朗、津森千里、廣川玉枝、皆川明、三原康裕が名を連ねる。
 公開審査会では、2次審査を経た14組がそれぞれのコンセプトを掲げたコレクション各3体をショー形式で披露。「装苑賞」を受賞した南方は1987年生まれ和歌山県出身。2010年に大阪モード学園ファッションデザインアパレル学科を卒業後、2011年から衣装オーダー製作や衣装リースを手掛ける「グストンバール(GUSTONBAR)」のデザイナーとして大阪を拠点に活動している。今回は「愛しきもの」をテーマに、「人間が古来より助け合ってきた動物たちとこれからも共存し地球上で生きていきたい」といった思いを込めて作品を制作。服全体で象や羊などの動物を象ったデザインが特徴で、糸や紐で編み上げることで人と動物との関わりを表現した。審査員を務めたコシノは「とてもチャーミングで、ユーモアの中にある素材や質感のエレガントさがすごく素敵だと思います」、廣川は「作品が出てきたときにすごく驚きや発見がありました。マクラメレースはよくある手法だとは思いますが、それを表現に落とし込めたのは素晴らしかったです」と評価。南方は「自身のビジネスを広げていくだけでなく、若手デザイナーとチームを組んで日本の存在力を高めるような取り組みをしたいです。人々に夢を見せて、楽しんでもらえるような服を作っていきたいです」と今後の抱負を語った。
 佳作1位は「メルシーボークー、(mercibeaucoup,)」デザイナー 宇津木えりの息子 宇津木陽多。車やバイクのカスタムカルチャーを着想源に、車のバンパーなどに使われるFRPを研磨・塗装し服に落とし込んだ。佳作2位は「LOVE&PEACE」の意味を込め、袖やスカートにアレンジしたハート柄をレーザーカット加工したフェイクレザーを取り入れた伊藤里緒、rooms賞はSNSが普及する現代に蔓延する強い承認欲求をテーマに制作した千田拓哉がそれぞれ受賞した。

■受賞者一覧装苑賞:南方一(画像18~21)佳作1位:宇津木陽多(画像26~29)佳作2位:伊藤里緒(画像34~37)rooms賞:千田拓哉(画像54~57)