F1とFIAは、カナダGP決勝でチェッカーフラッグを担当したモデルのウィニー・ハーロウが誤って1周早くフラッグを振ってしまった事案を受けて、レース手順の再検証を行なうと表明した。
今回のミスがトップ10のリザルトに影響を及ぼすことはなく、ハーロウ自身がその責任を問われることもなかった。だが競技規則上の条項に基づき、首位のマシンが早過ぎたチェッカーフラッグより1周前のラップを走り終えた時点の、各ドライバーのポジションが最終順位となった。
FIAのレースディレクターを務めるチャーリー・ホワイティングは、今回のミスはオフィシャルスターターと、スターターズタワー内の競技員との間に生じた伝達ミスによるものだとして、以下のように語った。
「スタートプラットフォームと、スターターと呼ばれるスタッフとの間に生じた伝達ミスが原因だ」
「スターターは最終ラップに入ったと思ってタワー上部にいた競技員たちに確認を求め、彼らはそれを確認した。スターターは実際には質問をしていたにもかかわらず、競技員たちはそれを指示だと勘違いしたのだ」
「その結果、1周早い時点でフラッグを振るように指示が出されたという単純な話であって、フラッグを振ったのがセレブリティだったこととは何の関係もない。彼女は責めを負うべきではないのだ」
優勝したセバスチャン・ベッテルは、レースの最終周を走行中、サーキットに点在する大型スクリーンのひとつでチェッカーフラッグが誤って振られている映像が流れているのを実際に目にし、すぐにそれがミスであると無線でチームスタッフに伝えた。
「幸い僕らには無線が合ったし、マシンにはラップカウントが付いていて、ピットボードの表示も正確だった。けれども、もし無線が使えず、ピットボードも見られなかったとしたら減速していただろう」とベッテルは説明した。
「とにかく心配だった。僕は最終ラップを走行中にもスタッフに、人々が喜んで旗を振ったりしながらコースに飛び出してこないようにしてほしい、と伝えたんだ。僕たちはその時点でまだ最速ペースで走っていたんだからね」
幸いなことに今回のミスが重大な結果を伴うことはなかったものの、ホワイティングはこの事案に関連して、現行のレース手順を適切に検証し直すべきだと強調した。
「我々は、レース手順を再検証し、どのコースであっても変わることのない非常にシンプルな手順だけが適用されるようにすべきだ」
「我々は異なる人々、異なる国々、異なる言語と関わっている。その活動が常に完璧なものだとは言い切れない」
「当然我々も完璧を目指して努力しているが、今回については幸いなことに結果への影響という意味では大きな不都合はなかった」