今年も伝統の耐久レースイベント『ル・マン24時間』の季節がやってきた。WEC開幕戦スパ・フランコルシャン6時間に引き続き、フランスのル・マンでもメカ、ハコ車&スポーツカーマニアの“ヘンタイ”カメラマン、鈴木紳平が現地から気になる情報をお届け。第3回目となる今回はテストデーからの数日間を振り返りつつ、豪雨に見舞われた公式車検日の様子をいつもどおり“独自の目線”でお伝えします。
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さて、ル・マンでの生活も2週間が過ぎようとし、フランスの大手スーパーマーケット“カルフール”で買うお豆腐がSMPレーシングが走られせるBRエンジニアリングBR1のフロントライトに見えてきた今日この頃、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
現地では公開車検も終わり、いよいよ走行が始まろうとしていますが、その前にこの1週間をちょっと振り返ってみたいと思います。
それではロールアウトから公開車検までのブログお付き合いください。
まずは冒頭の豆腐からいってみましょう。静岡県は御殿場市で製造されている“さとの雪”ですが、私にはもうBR1のフロントライトにしか見えません。
ただし、かのマシンのように大豆の風味が“飛んでいる”ということはまったくなく、とても美味しいです。
それでは落ち着いてサーキットに戻りましょう。テストデイ明けの5日(火)には常設サーキットであるブガッティ・サーキットにてロールアウトが行われます。
本来はゆっくり走行し前日にメンテナンスした車両を確認するだけの目的なはずですが、4日前に車両を組み上げたばかりのLMP1プライベーター、ドラゴンスピードの10号車BRエンジニアリングBR1・ギブソンは全開! いわゆるマジ走りでかっ飛びます。
そのドラゴンスピードの後ろを走る“ピンク・ピッグ”ことポルシェGTチームの92号車ポルシェ911 RSRですが、ストレートでブレーキをロックさせたりまします。
ブレーキローターの熱入れではないかと思いますが、あのクルマが白い煙をあげるとちょっとちがうことを連想してしまいます。
ロールアウトも終了した翌日、暇だったのでル・マン・ミュージアム内のお土産屋さんにやって来ました。お店に入って正面の一等地にはフェルナンド・アロンソ様が着用しているものと同じ帽子が売られています。お値段29ユーロ(約3800円)、お土産にいかがでしょうか?
その横ではミニカーも売られています。おっと、すでにちょっと懐かしいFFのGT-R発見です! 手前のポップには“ユニークなモデル”とあります。
思わずニヤニヤしてしまいます。
10日(日)は公開車検へやって来ました。ル・マン24時間モニュメントの周りを子供たちが走ります。『24』という数字がつねにすぐ隣にある生活、羨ましいですね。
今年も現れました! 偽タバードを着用したカメラマン。
リュックサックを背負い年号が目立つ部分を絶妙に隠し縦横無尽に動き廻ります。
その偽カメラマンですが働きぶりは感心するものがあります、LMP1やP2マシンだけでなくLM-GTEアマクラスのマシンにも興味を示しカメラに収めていきます。
一方、こちらは本職のカメラマンです。水たまりに映り込むクライアント様を収めようと腹這いになり根性を見せます。
おっと! 車検場手前でLMP1プライベーター同士が接近です。進学校でスポーツは強そうですが喧嘩はからっきしっぽい“ジネッタ高”の皆さん(ル・マン現地ルポ1回目参照)が武闘派っぽいSMPレーシングのみなさんに道を譲ります。
その見かけは怖くバンカラっぽいSMPのみなさんですが、子供たちにはとても優しいです。わざわざ車両を止めて記念写真を撮らせてあげます。
そのSMPに乗るジェンソン・バトンさんの変顔いってみましょう。アロンソ様と同じくル・マン24時間をとても楽しんでいる感じがします。
ただ私的にはバトンさんよりドライバーの後ろに設置されている縄暖簾が気になって仕方がありません。
車検2日目、ミニカー屋さんを覗きます。
お! トヨタの3台目として昨年のル・マンを走った9号車トヨタTS050ハイブリッドが初見参です。
こちらでは公開車検場の横の路面電車沿いに、立派な松の盆栽を発見しました。最近ちょっと盆栽に興味がある私。見事な枝振りにしばし見とれます。
脇見をそこそこに車検に戻りましょう。AFコルセの71号車フェラーリ488 GTEをドライブするサム・バードさんがLM-GTEプロのライバルとなるアストンマーチン・バンテージAMRをチェックしています。
そのバードさん、やおら近づくとおむもろにドアノブに手を伸ばします。さすがに触ったりすることはありませんでしたが、私が振り返るとアストンマーチン・レーシングのメカニック全員がその様を見ていました。
車検2日目には豪雨といってもいい雨も降りました。LMP1プライベーターの番長格であるレベリオン・レーシングのみなさんも、さすがにこの雨ではクルマを見捨て放置します。
ではここで急遽、『第1回 LMPクラス リヤカウル水溜まり選手権』開催したいと思います。LMP2クラスからはリジェJS P217がエントリー。しかし、カウルの継ぎ目が邪魔をしてご覧の有様で、3位に甘んじます。
2位はLMP1のレベリオンR13、なかなかの溜まりっぷりです。私的には左右の水溜まりが繋がっているところにあるガーニーフラップから水が漏れない、そのクオリティーに感心です!
栄えある優勝はLMP2クラスのダラーラ P217に決定です。イタリアからエントリーの47号車ダラーラですが、ブルーメタリックのカラーリングと相まってとても透明感を感じます。
賞金やトロフィーなどはありませんがダラーラのみなさま、おめでとうございます。
『水溜まり選手権』ウイナーとなったテェティラー・ヴィッロルバ・コルセのみなさんですが、車両へ戻って事態を把握し、しばし呆然とします。しかしそこは陽気なイタリアン、「魚が飼えそうだな」などと言って笑い飛ばします。
ただ、やはり後始末はしなければいけません。掻き出すとご覧の水量です。
2位に甘んじたレベリオンはリヤセクションを外してこのように排水します。
そんなことをしていたら車検日も終了しました。いよいよ13日(水)からフリー走行、予選が始まります。LMP1のEoTがどうなったかもよく分かりませんが、とにかく合計60台のクルマ達が走り始めます。
次にみなさまにお会いするのは決勝後になります。それではみなさん、ごきげんよう、さようなら。