トップへ

正社員より2週間短い「産休」…非正規女性「同じ仕事をしているのに」と是正求め提訴

2018年06月11日 17:52  弁護士ドットコム

弁護士ドットコム

記事画像

正社員との間で産休(産前・産後休業)中の賃金や期間に格差があるのは不当だとして、社会福祉法人「青い鳥」(神奈川県横浜市)で働く有期雇用の女性(30)が6月8日、同法人に慰謝料など計約140万円を求めて、横浜地裁に提訴した。


【関連記事:「16歳の私が、性欲の対象にされるなんて」 高校時代の性被害、断れなかった理由】


女性は6月11日、東京・霞が関の厚労省記者クラブで会見し「なぜ同じ仕事をしているのに、正社員と同じ待遇を受けられないのか。おかしいと思っていました」と訴えた。


●産前休業「正社員は8週、非正規は6週」

訴状によると、女性は2013年5月、障害児通所事業や地域活動支援センターなどを運営する同法人に有期の契約社員として入社。社会福祉士として障害者就労支援センターで勤務し、5回にわたって契約を更新している。


女性は勤務期間中、2人の子どもを出産した。就業規則上、正社員は産前・産後休業中は働いた時と同様の給与が計16週間(産前8週・産後8週)支払われる。一方、有期社員はこの期間中、給与が支払われず、産前休業は6週間(産後は正社員と同じ8週間)と期間に差があった。


正社員との間で職務の内容と配置の変更の範囲は変わらず、労働契約法20条に反して不合理な格差が生じているとして、全国健康保険協会から受給した出産手当金と給与相当額との差額などを求めている。


●原告女性「女性が働きやすい環境を」

女性の代理人・山岡遥平弁護士によれば、労契法20条をめぐる裁判は全国で起きているが、産休をめぐるものは珍しいという。


同法人は約800人の社員のうち、約7~8割が女性で、約半数が非正規雇用。山岡弁護士は「出産を機に退職してしまう女性が多い。正社員との格差を是正することで、女性が働きやすい社会にしていくことを目指すという意味で、非常に意味のある訴訟だ」と語った。


女性は所属する「よこはまシティユニオン」を通じて、待遇格差の改善を要求してきたが、交渉に応じてもらえず、提訴に至った。女性は「法人とも何度も話し合いしましたが、ゼロ回答で、全く聞き入れてくれないと言う状況。訴訟を通じて、女性が子育てしながら働きやすい環境を整えていきたい」と語った。


「青い鳥」の担当者は「訴状を見ていないため、現時点ではコメントできない」としている。


(弁護士ドットコムニュース)