ピレリ・スーパー耐久シリーズ第3戦富士SUPER TEC 24時間レースは、6月3日の15時00分にゴールを迎えた。長く過酷な24時間レースでは、優勝候補の3号車ENDLESS GT-R(YUKE TANIGUCHI/山内英輝/銘苅翼/峰尾恭輔/砂子塾長/山田真之亮)、97号車Modulo CIVIC TCR(植松忠雄/中野信治/大津弘樹/小林崇志/石川京侍)、10号車Racingline PERFORMANCE GOLF TCR(フィリップ・デベサ/密山祥吾/遠藤光博/脇阪寿⼀)がトラブルやアクシデントに見舞われ優勝争いから離脱した。その時、3チームに何が起こっていたのか。10号車ゴルフGTIは寿一、97号車シビックTCRは中野、3号車GT-Rは山内に聞いた。
■10号車ゴルフTCRを襲った不運なクラッシュ Racingline PERFORMANCE GOLF TCRは、レースが13時間を迎えようというところで、ドライブしていた遠藤が他車との接触でスピンして止まった13号車ENDLESS 86と衝突。フロントを大きく損傷しリタイアとなった。
この状況をピットから見守っていた寿一は、クラッシュは「避けきれるものではなかった」という。
「(13号車ENDLESS 86とのクラッシュについては)レースってタイミングで、我々は前のクルマが誰かに接触させられてスピンして止まったところに突っ込んだわけです。我々(プロドライバー)が乗っていても避けられるものではなかったですね」
「98号車の童夢(FLORAL CIVIC TCR)にフィリップ(デベサ)さんが追突されて、少し(ピットストラテジーの)タイミングも狂ったんですよ。あれがなかったらクラッシュしていなかったと思います」
「富士スピードウェイがこれから日本のなかでモータースポーツ文化をやっていこうという一番最初の24時間レースに我々の名前を刻みたかったなっていうのはありますけど、レースなんで仕方ないです」
「(マシンが)壊れなかったら勝てた気がしてるので、リタイアはものすごく悔しい気持ちはありますけど、フォルクスワーゲンのゴルフGTIの速さは示せたと思ってます」
■原因不明のトラブルがレースウイーク序盤から続いた97号車シビックTCR
ST-TCRクラスで2位表彰台を獲得したModulo CIVIC TCRだが、決勝レース中には2度、原因不明のスローダウンが発生。一時はトップを走行していたものの、クラス優勝には届かなかった。
中野は「レースはいろいろありましたね。まあ24時間なんで何もないわけはないんですけども、思った以上にトラブルも含めてありすぎたのは少々残念」とコメントすると、スローダウンの理由については以下のように説明した。
「(レース中のスローダウンについては)おそらくスイッチ、センサー系のトラブルですね。まだ原因がはっきりしてないんですけど、レースウイークに入ってからずっと症状が出ていて、それが最後まで直らなかったという感じです」
「最終的にはしっかりと完走することができました。表彰台はおまけみたいなものだと思ってるんですけど、(24時間レースは)ポイントが大きいのでシーズン考えたときにもここを逃すっていうのは非常に厳しい」
「そういった意味ではポイントだけは欲しかったので、そこを目標に掲げていました。いろんなトラブルがあったなかでこの結果は非常にありがたいですね。もちろん勝ちたかったんですけど」
「積んでいるウエイトの重さとかを考えれば、チームが良いクルマを作って仕上げてくれました。トラブルは予期せぬというか、原因がわからないようなところのトラブルなので、そればっかりはチームもどうすることもできなかったので、これもタイミングなのかなと。そういう状況のなかでも結果出せたことが大きいし、先につながるレースになったと思います」
■3号車GT-R「自分たちでつかみ始めたものを自ら手放してしまった」
富士24時間では決勝レース開始から20時間が経過する前に8分間のメンテナンスを2度取らなければならないという特別規則が設けられており、レース序盤から99号車Y's distraction GTNET GT-Rとトップ争いを演じたENDLESS GT-Rはスタートから14時間が経過したころに1度目のメンテナンスタイムを消化する。
メンテナンスタイムを消化し、総合首位でコースに復帰したENDLESS GT-Rだったが、ピットアウトから数分後、マシンの左フロント付近から白煙が上がり緊急ピットイン。レースには復帰したが、これで優勝争いから脱落した。白煙が上がった原因については詳細は不明だが、ブレーキ周りにトラブルがあったものとみられる。
チームの一員として戦った山内は「率直に言うとすごく悔しいです」と次のように語る。
「最初のFCY(フル・コース・イエロー)で作ったリードを失って、運というところでは一度見放されました。解除後は99号車に30秒くらい離されましたが、その後は実力で僕たちが取り返して、実質トップのマージンを取れたので本当にいい流れを掴めていました」
「いい流れは見えていたんですけど、自分たちでつかみ始めたものを自ら手放してしまったというのをすごく感じています。でもこれが24時間レースで、耐久性、チーム力を試される部分だと思います。トラブルに関しては、詳しくは聞いていませんが、メンテナンスタイムでのヒューマンエラーというのがあったようです」
「チャンピオン争いは実質非常に厳しい条件になってきています。今シーズンは表彰台にも立てていません。速さがあるだけにもったいないと感じていますが、次戦に切り替えて頑張りたいと思います」