土曜日のフリー走行3回目にピエール・ガスリーのパワーユニット(PU)にトラブルが発生したホンダ。予選まで時間がなかったため、予選に参加させることを優先したトロロッソ・ホンダは、前戦モナコGPまで使用していた旧式の仕様に戻して、ガスリーを予選に臨ませた。
しかし、ガスリーは渋滞などの影響もあってQ1で敗退。予選は16番手に終わった。すでに5戦を戦ったPUでカナダGPのレースを走らせると、次のフランスGPは7戦目のグランプリとなる。
フランスGPは2008年以来10年ぶりも開催。しかも、ガスリーの母国グランプリ。その重要なレースでPUを交換するという選択肢を採りたくなかったトロロッソ・ホンダは、日曜日にスペアとして用意してあった新型PUに交換する決断を下した。
これでカナダGPのレースは、2台そろって新しいスペックのICEが搭載されたPUでスタートすることになったトロロッソ・ホンダ。だが、日曜日にも不運に見舞われてしまう。
スタート直後の5コーナーで12番手からスタートしたブレンドン・ハートレーがランス・ストロールと接触。コンクリートウォールとストロールに挟まれてクラッシュしたハートレーのマシンは大破し、6コーナーまで飛んで行ってようやく止まった。もちろん、ハートレーはその場でリタイア。
自力でマシンから降りたハートレーは、メディカルセンターへ運ばれた後、さらなる検査を受けるため、ヘリコプターで病院に移送。精密検査の結果、肉体的にダメージはないことが判明し、検査後すぐにサーキットに帰ってきた。
「本当に残念。今週末はパワーユニットのいいアップデートがあって、ポイントにチャレンジできるペースがあったからね。僕の体に全然問題はないし、次のレースの準備もできている」(ハートレー)
これで1台だけになったトロロッソ・ホンダ。19番手からスタートしたガスリーは、ハートレーの事故によって出動していたセーフティカー明けの再スタート後のストレートでフォース・インディアのセルジオ・ペレスやハースのケビン・マグヌッセンをオーバーテイクする素晴らしい走りを披露した。
入賞まであと1歩という11位までポジションを上げたガスリー。ポイント獲得はならなかったが、レース後は新PUに手応えを感じていた。
「ストレートで複数のクルマをオーバーテイクしたよ。ホンダの努力に感謝したい。あとは不運に見舞われることなく、そのポテンシャルをしっかりと発揮するだけ。次のレースは僕のホームグランプリ。すごく楽しみ!」(ガスリー)
無得点に終わったものの、新PUを入れたトロロッソ・ホンダにとっては収穫もあった。
「全体的に燃焼が改善され、スタート時にトルクを安定して出せるようになりました。またドライバビリティもさらに向上しているようです。ICEの出力だけでなく、PUの性能が総合的に改善されたことが確認できたことは、シーズンの次のステージに向けて、良い材料です」(田辺TD)