この間、区役所に母子手帳をもらいに行った時のこと。手帳を受け取った後、簡単なカウンセングと説明を受ける時間があった。産後の環境について問われるシートが出され、「赤ちゃんの世話や家事を手伝ってくれる人はいますか?」「それは誰ですか?」みたいな質問が並んでいた。(文:みゆくらけん)
「夫」の項目に○を付けた筆者に、担当者は何度も「お母様は?」「里帰りは?」と尋ねてくる。状況的も相性的にもハナから母親をアテにしていない筆者が「夫がいるので大丈夫です。夫の仕事は時間的融通もききやすく二人でやっていけます」と答えているのに、「いざとなったらこんなサービス(支援)もありますので」と納得してくれない様子だ。
夫(男性)はそんなにも「使えない」と見なされているのか?孤立育児によるノイローゼや産後うつ(からの虐待)が起こらないよう状況の事前把握が大切なのは理解できるが、なんだかなァという印象であった。
そんな中、先日のはてな匿名ダイアリーに「男が当たり前に育児することはハードルが高い」と訴えた記事が投稿され、反響を呼んでいた。投稿者の夫はひと通り普通に家事ができるし育児にも積極的な姿勢なのに、産婦人科や親子学級などに夫婦で行くと大抵が「パパたちは家事なんか出来ないんだから今のうちにママに習っておいてね」という接し方なのだという。
「お父さんもたまには育児に参加してくださいねー」と、してない前提で説教される人も
「パパ=みんな家事出来ない」の前提で話を進めてくるのが腑に落ちない投稿者は、「知り合いの子育て世帯を見渡しても『旦那が家事を全くしません』という家はほとんどない」と主張する。男性の意識がすっかり変わってきているのに育児業界がそれを掴み切れていなくて未だに「イクメン持ち上げ」をしていることが「世の中の頑張っているパパを褒めているようで見下してる」と分析。さらに、
「『育児するパパかっこいい』じゃなくて『子供の世話をするのは別に偉くないし当たり前』にどこかでシフトしなくちゃいつまで経っても『どうせ男は家事育児できないしー』みたいな風潮なくせないと思う」
とも。この投稿には「めっちゃわかる」という共感の声が殺到した。
「健診とか連れて行くと、『お父さんもたまには育児に参加してくださいねー』みたいな、してない前提で説教される」
「『出産前に準備しておきたいこと:パパにゴミの日を教えておきましょう』とか、バカにしてんのかって思った」
また、「イクメン」という言葉に「もういいだろ」的違和感を覚える人も多く、
「ほんこれ。『イクメン』は育児をする父親をバカにする言葉だってずっと感じてたので大嫌い」
とのコメントも。前にハライチの岩井が「イクメンって気持ち悪い言葉。自分の子ども育ててイクメンて意味分からない」と言っていたが、「これは正論」と感じる人が多かったのもわかる気がする。
結局は「慣れ」の問題なのか
冒頭の区役所のこともあり、今回の内容には激しく共感していた筆者。しかしつい最近、抱っこ紐で赤ちゃんを抱えている男性を直視した時、ほんの僅かだが、自分の中に「何とも言えない違和感」があるのを感じてしまった。
ただの抱っこなら何とも思わないのだが、抱っこ紐という道具を使用してのスタイルに「割烹着を着てお玉を持っている男性」的チグハグ感を覚えてしまったのだ。これは完全なる偏見・差別であり、そんな自分にショックを受けた。これでは「男性は家事できない前提」で話してくる両親学級講師と同じである。しかし、結局は「慣れ」の問題なのだろう。今が過渡期の真っただ中であることは間違いなさそうだ。