ラリー・イタリア・サルディニアで総合3位表彰台を獲得したエサペッカ・ラッピ(トヨタ・ヤリスWRC) 6月10日に競技最終日が行われたWRC世界ラリー選手権第7戦イタリア。TOYOTA GAZOO Racing WRTは若手エサペッカ・ラッピ(トヨタ・ヤリスWRC)が危なげない走りで総合3位に入り、今季初の表彰台フィニッシュを飾ったほか、トラブルで上位争いから脱落したヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)、オット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)もポイント圏内でフィニッシュしている。
この週末は近年まれに見る雨まじりの天候となったイタリア・サルディニア島。競技最終日は好天に恵まれたため、路面はおおむねドライコンディションだったが、一部には濡れた路面も残り、突然グリップを失うような箇所もある難しいコンディションとなった。
競技3日目にラトバラとの接近した総合3位争いを制したラッピは、優勝争いを繰り広げる前方のセバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタWRC)とティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)、後方から追い上げるヘイデン・パッドン(ヒュンダイi20クーペWRC)のどちらとも1分近いギャップがあったため、無理に攻める走りはせず。
最終日に行われた4SSを危なげない走りで駆け抜けて、トップと1分52秒1差の総合3位でフィニッシュし、自身今季初、チームに今季通算4度目の表彰台をもたらした。
またラッピはこの表彰台獲得で、トップと79点差、タナクと7点差のドライバーズランキング4位に浮上している。
前日、全ステージ完走後のリエゾン(移動区間)でオルタネータートラブルが発生し、デイリタイアしたラトバラはマシンの修復が叶い、競技最終日に参加。最終ステージのSS20では一瞬マシンがストールするハプニングがあったものの総合7位で競技を終えた。
また、競技初日にジャンピングスポットを通過した際、着地の衝撃でマシンのフロント部分にダメージを負い、デイリタイアして大きく順位を落としたタナクも、粘りの走りで順位を上げ総合8位を獲得。またボーナスポイントが与えられるSS20ではステージ3位を獲得してランキング3位の座を守っている。
■マキネン代表、「今年のサルディニアは予想以上にタフ」
チーム代表のトミ・マキネンは、トラブルがありながらも、3台全車がポイント圏内でフィニッシュした結果に「完全には満足していない」としながらも、3位表彰台を獲得したラッピの走りを称賛した。
「表彰台フィニッシュというエサペッカの結果は、素晴らしいものだ。金曜日には少しタイムを失ったが、その後は本当に良い走りだった。集中力を切らさず、ミスもしなかった彼の今回の戦いは、ポディウムに相応しいものだよ」
「もっとも、ヤリ-マティもオットも表彰台争いをできるだけの速さがあっただけに、完全には満足していない。彼らふたりのクルマに問題が起こってしまい、本当に運が悪かったと思うが、これがラリーというものだし、あのようなことは特に今回のように荒れたラリーでは充分に起こり得るものだ」
「今年のサルディニアは我々が予想していた以上にタフで、多くのクルマに問題が起こり、リタイアした。荒れた路面にも関わらず皆全開でアタックしているから、クルマが強いだけでは充分ではなく、運も少し必要なんだよ」
2018年シーズン初の表彰台を獲得したラッピは「自分自身とチームの自信を高めるために、今回の結果はとても重要な意味がある」とコメントしている。
「ポディウムフィニッシュに値する戦いをしたと、自分でも思う。今回より前にもチャンスはあったが、自分のミスでその機会を失ってしまった。前戦ポルトガルと今回のサルディニアではミスなくラリーを戦うことができ、一貫性とパフォーマンスを両立できたから、このいい流れを次戦フィンランドにつなげたいね」
またラトバラは「今回は本当に表彰台に立ちたかったが、ポジティブな気持ちで休暇をとり、次戦フィンランドで再挑戦する」と悔しさをにじませたほか、タナクも「とてもタフな週末だったが、多くを学んだ。何が、どのような理由で起こったのかをきちんと理解し、今後同じ問題が起こらないようにする必要がある」と述べている。
2018年シーズンのWRC第8戦は7月26~29日に開催されるラリー・フィンランド。シリーズでもっとも平均速度の高い一戦で“フィンランド・グランプリ”とも呼ばれ、サスペンションや空力、エンジンなどマシンの総合的なパフォーマンスが求められる。
トヨタにとっては2017年にラッピがWRC初優勝を獲得し、当時ドライバーだったユホ・ハンニネンも総合3位に入るなど、好成績を残したイベント。またチームはフィンランド・ユバスキュラ近郊に拠点を構えているため、ホームイベントとも呼べるラリーでもある。