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いよいよ怒涛の最終回へ! 古沢良太脚本『コンフィデンスマンJP』が月9に吹き込んだ新しい風

2018年06月11日 06:02  リアルサウンド

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 主演・長澤まさみ、脚本・古沢良太のタッグで送る月9ドラマ『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)の勢いが止まらない。


参考:長澤まさみ主演『コンフィデンスマンJP』の大いなる狙い プロデューサー「世界的に通用するものが必要」


 メインキャストの3人が、各話に出演する金の亡者のゲストを相手に、ド派手な謀略と詐欺で一攫千金を目指す様子を描く本ドラマ。ダー子(長澤)は3人の中心的存在で、いつも突拍子もないアイデアを編み出しては、さまざまな分野の知識や技術を次々に覚えられる才能を持っている。反面、その無鉄砲な一面が、同じチームのボクちゃん(東出昌大)を辟易させてしまう。ボクちゃんは、できることならダー子たちとの詐欺行為をやめたいと思っているにもかかわらず、結局いつも丸め込まれて加担させられてしまう。そして、2人を脇からサポートする存在として存在するのがリチャード(小日向文世)。ベテランならではの風格と、熟練のテクニックで、毎回の計画で絶妙な役割をこなす。


 1話完結型の本作では、いつも3人の計画は順調には進まず、大概、大きなピンチ(時には、3人の命に関わるくらいの修羅場をくぐり抜けなくてはならないようなピンチ)に見舞われてしまう。しかし、それでも最後には3人はチームワークを結集させ、急転直下の逆転劇というシナリオが描かれる。


 このドラマが視聴者を惹きつける要素は、一体どこにあるのだろうか? 一つには、古沢良太の脚本による、緻密な構成とダイナミックな物語進行の仕方にあると言える。『リーガルハイ』(フジテレビ系)、映画『エイプリルフールズ』といった作品からも分かるように、エンディングの予想外の結末や、逆転劇というのは古沢ならではの作り上げ方だ。『コンフィデンスマンJP』もその持ち味が十分に発揮されている。


 一見現実ではありえないような設定・展開にも関わらず、観る者にその“ありえなさ”を疑わせることなく、一つのシチュエーションとして受け入れさせてしまう。ここに本作の秀逸さがある。コメディはただ単に、エキセントリックな状況やキャラクターをミックスさせれば、爆笑を誘えるものにはならない。「そんなことあるわけがない。くだらない」と思わせたら、視聴者は興ざめするだけで、作品に奥行きが生まれない。その点、本作の綿密に作られたシナリオとそのクオリティの高さは、作品全体に重厚感を与え、チープな印象を与えていない。


 そしてもう一つ、本作の画期的な成功がある。「月9と言えば恋愛ドラマ」というのは、今は昔。『HERO』『西遊記』『コード・ブルー』『ガリレオ』と次々に新ジャンルを取り入れていった月9枠であるが、今回の『コンフィデンスマンJP』もこの枠に新しい風を吹き込んだ。古沢は『デート~恋とはどんなものかしら~』で月9初脚本を務めたわけであるが、主要キャストに恋愛要素がほとんど絡まない、いわば“純コメディ”をこの枠に取り入れたのは斬新な試みと言えるだろう。どちらかというと、今回のようなコメディものは深夜枠でコアなファンを狙った作品にありがちなものだが、長澤まさみら主要キャストの“破壊的”な芝居と、先ほど指摘したような古沢脚本の秀逸さが、ゴールデン枠でもなんら違和感なく、世界観を視聴者に受け入れさせる。


 最終回となる第10話では、ボクちゃんがダー子とリチャードの元を去ってしまってから1年後が描かれる。迎えるゲストは佐藤隆太で、戸田菜穂、袴田吉彦、野間口徹らのサプライズ出演も決まっている。ほぼダー子のスイートルームで、古沢の得意とするワンシチュエーション劇が展開されるという最終話。一室の中で、出演者の軽妙な会話と、巧みなトリックが爆発するのが待ち遠しい。


 詳しいキャストやストーリーは現時点では未定ではあるが、映画化も発表された『コンフィデンスマンJP』。最終話とともに、スクリーンでダー子らの暴走ぶりが見られることに期待が高まる。(國重駿平)