カナダGP土曜日のフリー走行で、ピエール・ガスリーのパワーユニットにトラブルが起きたホンダ。その原因については、「調査中です。これからさくらに送り返します」(浅木泰昭執行役員/HRD Sakura)と語っていた。
つまり、原因だけでなく、壊れた場所もホンダは明言を避けている。
だが、土曜日の予選後に行われたブレンドン・ハートレーの囲み取材で、こんなやりとりがあった。チームメイトのガスリーにトラブルが起きて心配はないかという質問に対して、ハートレーはこう返答したのである。
「僕のMGU-Hは、ピエールが搭載していた新しいものじゃないから、心配はしていない」
この言葉を信じるなら、今回ガスリーのPUにおきたトラブルは、新しく投入した新スペックのICE(内燃機関)ではなく、MGU-H(熱エネルギー回生システム)だということが想像できる。
ただし、このハートレーの回答には、もうひとつ別の重要な事実が隠されている。今回カナダGPでガスリーは新スペックのICEのほかにすべてのコンポーネントを新しいものに交換している。その中で性能を向上された新しいスペックは「ICEだけ」だと田辺豊治F1テクニカルディレクターは説明していた。
しかし、ハートレーの言葉には自分のMGU-HとガスリーのMGU-Hの仕様が違うという意味が込められている。
その件を、開幕戦のオーストリアGP以来の視察として、今回カナダGPを訪れていた浅木執行役員に尋ねると、「新しいといったら、ちょっと大げさで、気がついたところは時間が許す限り変えます」と否定はしなかった。
つまり、ホンダのアップデートはICEだけでなく、ほかのコンポーネントも改良されている。それをホンダが知らせないのは、そこに何らかの秘密が隠されており、そのことをライバルに悟られたくないからだと考えられる。