土曜日のF1 Topic「FP3でガスリーの新PUに問題発生、予選は旧スペックのPUで走行か」で、こんなことを書いた。
「ただ、不思議なのは、セッション終了1時間後にトロロッソのガレージを覗くと、PUは車体に搭載されていたことだ。もし、PUを交換していれば、ユニットごと交換だったとしても1時間以上はかかるはず。もしかすると、その後、なんらかの原因で交換を行わないことになった可能性も考えられる」
果たして、ピエール・ガスリーは交換したパワーユニットで予選を戦った。
予選後、その件をホンダに確認すると、「ガスリーがピットインしてから1時間以内で交換自体の作業は終了していました。交換だけなら、30分から40分で作業は終了していたと思います」(某メカニック)という。
つまり、筆者がガレージを覗いた12時56分(フリー走行3回目が終了してから56分後)には、すでに交換作業は終了していたのである。
そのあと、細かな部品の整備をして、エンジンに火を入れたのは予選開始15分前で、その後足回りなどを調整して、完全に出走できる態勢となったのが予選開始の14時だったという。
ホンダのスタッフによれば、交換作業が格段に早くなったのは今年になってから。田辺豊治F1テクニカルディレクターはこう説明する。
「想定外のPU交換が発生しても、できるだけ走行時間を無駄にしないよう、事前の準備のあり方を見直しました。チーム側ともそのへんの話し合いをしっかりとしました。昨年の状況はよくわかりませんが、スタッフによれば、『昨年だったら、あのタイミングで交換となったら、予選までには間に合わなかった』と話していました。ただひとつ言っておきたいのはPUの交換作業は車体のレイアウトとも大きく関係しており、必ずしも昨年まで怠けていたというわけではありません」
F1の戦いはコース上の速さだけでなく、部品の交換、セットアップ変更、タイヤ交換などのスピードも問われる。その意味では、このカナダGPでホンダはPUのアップデートとともに交換体制という面でも確実に進化しているところを披露していた。