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粘り強い走りで不運を払しょくする琢磨「今日は悔しいけど7位で我慢」

2018年06月10日 19:41  AUTOSPORT web

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テキサスを訪れた笹原右京、大津弘樹と話す佐藤琢磨
5月から連戦続きのインディカー・シリーズは、この第9戦テキサスの後に1週間のブレイクがあり、折り返し点を通過する。

 テキサスは予選の平均が220マイル(350km/h)でラップする高速のオーバルで、決勝はナイトレースで行われる。

 昨年は、ほぼ最後尾近くまで落ちながら、最後はトップ争いに復活する不死身のレースをした琢磨だが、エアロキットが変わった今年はそう簡単には事は運ばないようだ。

「今年のエアロキットの場合ダウンフォースが少なくて追いついても並んで抜くのが難しいでしょう。テキサスは2ワイド、3ワイドが醍醐味なのに、そういうレースにはならないかもしれませんね」と琢磨は言っていた。

 エアロパッケージの統一はホンダ、シボレーいずれにも公平な条件ではあったが、インディカーらしい醍醐味を失っているのかもしれない。

 2デイレースのテキサスは、90分のプラクティスの後に、すぐに1台ずつの予選。そして予選後に1時間のプラクティスがあり、翌日にレースを迎える。

 今回はファイアストンからのオファーで最初のプラクティスで最低4セットの新品タイヤの皮むきをせねばならず、プラクティスが30分延長されて90分となっていた。

 しかし、今年もタイヤにトラブルが発生してしまう。プラクティスから各マシンにブリスターが発生していた。各チーム共にブリスターが出ないようにクルマをセッティングするためにエネルギーを傾注していたようだ。

 琢磨は予選でベテランらしく研ぎ澄まされた走りを見せ9番手のグリッドを手に入れた。2周のラップタイムをアベレージを落とさずに周回し、23秒7台でまとめて見せた。

「僕らのチームとしてはできる事はすべてやった。9番手というポジション以上に満足度は高い」と笑う。チームメイトのグラハム・レイホールが20番手に沈んでいることを思うと、どれほどの健闘かわかるだろう。

 予選の後のプラクティスは4番手になり「いい仕上がりだと思います。4番手というのはニュータイヤのせいもあるのだけど、ロングランもできたし、いいフィーリングになってきました」と復調をアピールした。

 レースは土曜日、陽が落ち始めた19時30を過ぎてからのスタートとなった。陽が落ちたと言っても気温、路面温度共にまだ高い。


 琢磨は9番手から順調なペースを維持し第1スティントを終えた。第2スティントになってからまもなく、突然「タイヤが終わった!」と無線でアピール。

 右側前後のタイヤにブリスターが発生し、予定の3分の2にも満たないラップで急遽ピットに向かった。この時点で18番手まで落ちた。

 気温が下がってくるとタイヤの心配は少なくなるものの一抹の不安は拭えない。前半~中盤はほとんどイエローコーションもなかったため、琢磨は容易にポジションは上げられなかった。

 琢磨がポジションをトップ10に戻してきたの248周レースの200周を過ぎたあたりから。
 イエローコーションなどを巧みに使い、ようやく100周近くを費やして、ほぼ2ラップダウンとなっていたポジションを挽回した。

 トップ10に入った後に、前のウィル・パワーがコンタクトでリタイアし、さらにリスタートのタイミングで前のマシンをパスしていった。この時点で7番手まで上がっていたが、前を走るのはチームメイトのグラハム。

 グラハムとの距離は縮まったり離れたりしたが、ついに最終ラップまで彼を攻略する事は出来ず、248周目のチェッカーを7位で受けた。


「第2スティントはすぐにタイヤが終わってしまいました。あれはひどかったですね。タイヤの内圧のせいなのかちょっとわかりませんでしたけど、あれで大きく落ちてしまいましたね。2ラップ遅れで元に戻るのにすごく時間がかかってしまいましたけど、今日は悔しいけど7位で我慢するしかないですね」

 厳しいレースが続くも、インディ500以外ではすべて完走しており、ここ数戦はトップ10フィニッシュが増えた。もちろん琢磨が目指すのは、表彰台であり、優勝であることに変わりはないが、ここ数戦の不運続きを、ようやく粘り強い走りで払拭し始めたようだ。

 次戦はロードアメリカ。久々のロードコースのレースが待っている。