2018年F1カナダGPの土曜予選で、レッドブル・トロロッソ・ホンダのピエール・ガスリーは16番手、ブレンドン・ハートレーは12番手だった。
FP3終盤、ガスリー車に今回搭載された新パワーユニットにパワー低下が見られたため、ホンダは予防的措置により予選に向けてパワーユニット全体を交換した。新たに搭載したパワーユニットは前戦モナコGPまで使用していたものであるため、グリッド降格ペナルティは発生しないが、ガスリーは予選以降を今回のアップグレードがなされていない旧スペックのパワーユニットで戦うことになった。
■レッドブル・トロロッソ・ホンダ
副テクニカルディレクター ジョディ・エギントン
昨日、充実した一日を終えて、昨夜エンジニアたちはセットアップ変更のための分析に取り組んだ。これによってマシンバランスが改善したと考えている。今日のセッションでは、アウトラップでのタイヤの準備、ブレーキバランス、ディファレンシャルの調整、パワーユニット関係のパラメーターといったことに集中して取り組んだ。ドライバーふたりのコメントを聞くと、シングルラップのアタックのためフロントタイヤの準備をもっとうまく行う必要があることがはっきりしていたが、それを除くとマシンはだいたい正しい状態になっていた。
残念ながら、FP3終盤に、ピエールのパワーユニットに問題があるのを見つけた。不必要なリスクを避けるため、予選に向けて旧型のユニットに戻した。ホンダとトロロッソのスタッフたちは見事にパワーユニット交換を予選に間に合わせてみせた。おかげで予選の準備への影響を最小限に抑えることができたと思う。
予選では、プッシュラップ、クールラップ、プッシュラップというアプローチを行うプランを立てていたが、ここは1周が短いために、特にQ1ではトラフィックへの対応が必要だった。ブレンドンの最初のランの1周目は少し影響を受けたが、2回目のプッシュラップはトラフィックに遭うことなく走れたし、2回目のランもうまくいった。
ピエールは最初のランのラップ序盤にひどいアンダーステアに見舞われたものの、2回目のプッシュラップでは改善したので、この時点では2台揃ってQ2に進めるものと我々は考えていた。しかしピエールは最初のランの後、計量に呼ばれ、そのために2回目のランに向け、急いでマシンの用意をしなければならなかった。その結果、プッシュ・クール・プッシュのプランを実行することができなかった。つまり彼は最後のランで1周しかアタックのチャンスがなかったわけだ。これはタイヤの面で理想的ではなく、結果的にQ2に進むことができなかった。ピエールにはマシンの力を最大限に引き出す機会がなく、気の毒だったと思う。一方でブレンドンはスムーズに予選を戦い、強力なラップを走って12番手を獲得した。
チームとしては、もっと良い結果を出すポテンシャルがあっただけに複雑な気分ではある。しかし今は気持ちを明日の決勝に切り替えよう。タイヤをいかにうまく使い、ドライバーたちの順位を上げ、訪れるチャンスを最大限に生かすか、今夜検討してレースに備える。