「将来なりたい職業ランキング」などで上位に食い込むことも多い公務員。特に不況時などは大卒・高卒に関わらず人気の就職先となるが、売り手市場の近年も手堅い人気ぶりを誇っている。
当記事で取り上げるのは、文部科学省の職員たちの口コミだ。文部科学省は教育、科学技術・学術、スポーツ、文化の4つの分野を担当する行政機関。2020年東京オリンピック・パラリンピックや、ラグビーワールドカップ2019を前に、スポーツ振興の機運はますます高まっているが、2015年には外局としてスポーツ庁が発足した。
「基本的には長時間労働です。帰れないときは本当に帰れません」
学校教育や生涯学習など、教育に関連した部局が大きな部分を占め、人材育成のための未来志向の仕事を遂行している文部科学省。
中央省庁の間で差が出やすいのが残業・休日出勤の実態だが、文科省も幅広い業務を担っていることもあってか、「実際には定時退勤などありえないし、いくら残業しても1時間しかつかない。早朝まで仕事をして、2時間ほど家に帰りまた昼前に出勤なんてザラ。特に国会の会期中は皆交代でしていた」(20代後半 女性 300万円)と、大変そうだ。
「部署にもよりますが、勤務が深夜まで及ぶことも多いです。およそ2年ごとに異動しながら経験を積んでいきますが、専門性の蓄積が難しいと感じることがあります。自らプロジェクトを組み立てていくだけのゆとりがないこともあります」(30代後半 男性 850万円)
「子供のいる女性ならある程度考慮して貰えるようですが(定時に上がれるなど)、基本的には長時間労働です。帰れないときは本当に帰れません。終電もしくは朝帰り、休日出勤もやむを得ない、気づいたら15連勤…ということもあります。部署によって大きく異なる部分もありますが、人も少ないので基本的には忙しいです」(20代後半 女性 300万円)
「残業は毎日ある。18:15定時、22~23時までしている人も多い。特に1種と2種の人の残業は毎日である。また、専門職でその人だけに負荷がかかってしまう類の人は残業をよくしている。休日出勤も、時々している人がいるが、定常的にあるというわけではなく、何か忙しい時だけなので常態化はしていない」(30代前半 男性 360万円)
一方、「有給休暇を1時間単位で取れる。ランチをゆっくり食べたいから1時間時間休をとって同僚と少し遠出してランチに行ったりできました。有給を取りにくい雰囲気はありません(女性は)。残業代もきちんとでるし、家賃手当などもしっかりしているので、他の民間会社の事務職の子より恵まれた環境で働けると思います」(20代後半 女性 350万円)という声も。やりがいなどとの兼ね合いも考えれば、待遇の満足度はポジティブな内容も多い印象だ。ただ、文部科学省全体ではあまりにも仕事が多岐にわたり、部署ごとの差も大きいようで全貌を語ることは難しいようだ。
「報酬は高いとは言えないが、大きな仕事とのトレードオフか。典型的な年功序列制だがこれは国なのである程度は仕方ないか。何処もそうだと思うが、部署によっては何をやっているかよく分からない高給取りの年配がいる。福利厚生は流石に充実している。国家公務員共済組合に入れ様々な割引を受けられる/住宅手当あり/出産等の補助もある」(30代前半 男性 360万円)
「雰囲気は良かった。良くも悪くも、真面目な人が多い」
公務員ということもあり、育休や産休など女性職員の働きやすさについての理解はあり、職場復帰後も非常に協力的だそうだ。中には職場の雰囲気や職場恋愛についての口コミも見受けられた。
「上司によって雰囲気も変わりますが、だいたい固く真面目な印象があります。部署によって違うのかもしれませんが、研究部門などはそういった傾向があるかと思います。特に今は交流をかねた旅行会やスポーツイベントなどもないので、歓迎会などで親睦を深めるといった感じでしょうか」(20代後半 女性 320万円)
「忙しい時期と、割と余裕がある時期が分かれていた。余裕がある時期は、部署の皆でよく飲みに出た。雰囲気は良かった。良くも悪くも、真面目な人が多いので、業務上の悩みや相談にはよく乗ってもらった。民間企業から転職した人もそこそこいて、転職の相談には乗ってもらっていた」(20代後半 女性 300万円)
人生100年時代にあって、生涯学習社会実現の重要性が一層高まっている中で、文部科学省は教育分野の筆頭局として総合教育政策局を設置するなど、新時代の教育政策実現に向けた大きな組織再編を今年10月に行うという。
資源の乏しい日本が世界で活躍するためには、教育立国・科学技術創造立国を実現させなければならないが、そんな重要分野を所管する省庁だけに、充実した職場環境づくりにも励んでほしいものだ。