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SEVENTEEN、『WE MAKE YOU』で日本デビュー “13人全員で作る”チームとしての結束力

2018年06月10日 10:42  リアルサウンド

リアルサウンド

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 2015年に韓国でデビューし、5月30日に『WE MAKE YOU』で待望の日本デビューを果たした、13人組ボーイズグループ・SEVENTEEN。13人が一糸乱れずシンクロし、空間を最大限有効に使った、ミュージカルのようなストーリーすら感じさせるパフォーマンスが彼らの代名詞とも言える。360度どこから見ても多人数グループならではのダイナミズムを味わうことができるだけでなく、ボーカルチーム・ヒップホップチーム・パフォーマンスチームという得意分野別のユニットに分かれているのも彼らの特徴だ。そこで今回は改めてそれぞれのユニットとしての魅力を紹介したい。


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 プロデューサーの1人で楽曲制作の中心メンバーでもある、ウジがリーダーのボーカルチームは、ジョンハン、ジョシュア、DK、スングァンの5人で構成されている。3ユニットの中で一番和気藹々と楽しそうに見えるのは、他のパートとの調和が大切なボーカルチームだからなのかもしれない。グループの楽曲と比べると、より感性的でじっくりとそれぞれの歌声を聴かせてくれる楽曲が多い。


 一方、最年長でグループ全体のリーダーでもあるS.COUPS(エスクプス)をユニットリーダーとするヒップホップチームのメンバーは、ウォヌ、ミンギュ、バーノンの4人。こちらはボーカルチームとは対照的で、個人主義でお互い干渉しあわない自由な関係だという。しかし、フリーに動きながらもステージ上での呼吸はピッタリ。それぞれが自分のパートのリリックを書くのが基本でありながら、ライブでの即興性を求められるヒップホップジャンルらしいアティテュードとも言える。スワッグで重めの曲からスウィートな曲までこなすが、声のトーンが低いメンバーが集まっているからか、どこか大人っぽいイメージのあるユニットだ。また、SoundCloudで各自が作成したミックステープやフリートラックなども発表している。


 ラストに紹介するパフォーマンスチームは、リーダーのホシ、中国人メンバーのTHE8(ディエイト)とジュン、末っ子のディノというダンススキルの高い4人組だ。パフォーマンスチームのパフォーマンスは視覚的にシンクロさせなければいけない要素が多いためか、ストイックで練習量が非常に多いという。グループ全体の弾けるようなエネルギッシュさとは異なり、緊張感さえ感じさせるアーティスティックとも言えるステージが印象的だ。また、ダンスパフォーマンスが中心とはいえ楽曲にはボーカルパートやラップパートもあるため、それらをこなすオールマイティな側面も持っている(パフォーマンスチームのラップはディノが担当しているが、最近はリリックライティングにも参加している)。


 日本デビューミニアルバム『WE MAKE YOU』にも「20」(ボーカルチーム)、「Lean On Me」(ヒップホップチーム)、「HIGHLIGHT」(パフォーマンスチーム)が収録されており、1枚でそれぞれのユニットの魅力を味わえる構成となっている。しかし、最近のアルバムではユニットの枠にとらわれない、様々な組み合わせでパフォーマンスされた楽曲も多く収録されるようになった。各ユニットのリーダーであるS.COUPS、ウジ、ホシによるLEADERSがクールなトラックにリーダーらしく熱い歌詞を乗せた「CHANGE UP」や、個別に音楽番組でも活動したコミカルなブソクスン(ユニット名はスングァン、DK、ホシの本名から)など、コンセプトも様々だ。


 制作面においてはホシが振付の大部分を、ウジが作曲を担当している。ウジだけでなく、同じPLEDIS所属のR&B/ヒップホップシンガーであるBUMZU(プレデビュー時のボーカルトレーナーでもあった)も重要な存在だ。今までの活動曲は全てウジとともにグループのプロデュースを担当しているBUMZUが、ウジと共同で作ったものだ。楽曲だけでなく、活動時のイメージやコンセプトも、実質ウジとBUMZUがほぼ“ニコイチ”で作ってきたと言えるだろう。


 しかし一方で、「Pretty U」以降スングァンやDKがコーラス部分のディレクティングを自ら行っていたり、BUMZUとバーノンが共同で作曲した「Trauma」、BUMZUとホシの共作「HIGHLIGHT」「Swimming Fool」など、他のメンバーが楽曲制作に関わるケースも増えている(余談だが、BUMZUによるとホシとの楽曲制作はホシがイメージを踊ってみせ、それに合わせてBUMZUが作ってみた楽曲をホシがまたダンスで表現してみせるという、かなり変わった方法で行われるとのこと)。


 それぞれ得意分野を持ちながらも、個々の担当にとらわれすぎず、メンバー個人の成長とともにフレキシブルに変容していくSEVENTEEN。つまりはどのメンバー同士を組み合わせても、アルバム収録曲をこなせるという、どこを切っても美味しいグループに進化しつつあるということではないだろうか。しかし同時に、根底にはあらゆることを“13人全員で作ってゆく”というチームとしての結束があり、それがグループの唯一無二な魅力の源となっているのかもしれない。(DJ泡沫)