カナダGPの金曜日のフリー走行2回目で18番手に終わったピエール・ガスリー。1回目のフリー走行が10番手だったこと、2回目のフリー走行でチームメイトのブレンドン・ハートレーが12番手だったことを考えると、疑問が残るポジションだった。
セッション後、本人はその件を次のように説明した。
「間違ったエンジンモードで走っていたため、すべてのストレートで遅かったんだ。だから、あのタイムは本来のポテンシャルを表したものではない。チームメイトのタイムを見ればわかるようにトップ10に近いところにはいると思う。10番手のアロンソからブレンドンまでの3人が1分13秒台と接近しているからね」
ガスリーが間違ったエンジンモードで走っていたのは、ハイパーソフトを履いたショートランでのタイムアタックだった。その後はレース用のエンジンモードでロングランを問題なく走行していた。
この件をホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターに確認したところ、少し驚いた表情でこう語った。
「(そんなこと)言ってましたか? そうですか。確認しますが、(PUの設定に)おかしなところはありませんでした。ベストタイムは違う設定のモードで出たということではないでしょうか」
つまり、一発のタイムが出る一番いいモードでのアタックで、ガスリーはベストタイムをマークしていたなかった可能性がある。
そこでガスリーのアタックラップを確認すると、確かにベストタイムをマークしたラップはセクター3が29.9秒と区間自己ベストだったが、セクター1とセクター2は区間自己ベストではなかった。セクター1とセクター2の区間自己ベストをマークしたのは、その2周後で、セクター1がコンマ2秒、セクター2はコンマ3秒速かった。ところがセクター3で区間自己ベストより1.3秒ロスしたため、1分15秒353にとどまった。
つまり、区間ベストを3つ合計すると、1分14秒051となる。ハートレーのセクター3での自己ベストは29.6だったことを考えると、ガスリーは1分13秒7程度のタイムが出せるポテンシャルがあったと考えられる。それを出せなかったのは、おそらくガスリーがアタックラップのセクター3でミスしたからだと考えられる。
しかし、それを正直に言わなかったのは、ガスリーのドライバーとしてのプライドが許さなかったからだろう。