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AKB48『Teacher Teacher』が映す“現在のJ-POP” 作家陣とサウンドから分析

2018年06月09日 17:22  リアルサウンド

リアルサウンド

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参考:2018年6月11日付週間シングルランキング(2018年05月28日~2018年06月03日・ORICON NEWS)


 2018年6月11日付のオリコン週間シングルランキングの1位は、AKB48の『Teacher Teacher』。166万枚以上を売り上げての1位です。


(関連:“絶好調のNGT48”と“新女王狙うSKE48” 田中秀臣が『AKB48 世界選抜総選挙』の注目点を解説


 このシングルには『AKB48 53rdシングル 世界選抜総選挙 ~世界のセンターは誰だ?~』の投票シリアルナンバーが封入されていますが、今回の総選挙では友人を介してBNK48の盛り上がりを感じています。BNK48とは、2017年にタイでデビューしたAKB48グループのひとつ。そのBNK48に気づくと友人がハマっており、彼の部屋にはBNK48のメンバーに投票するためのCDが段ボール箱で積みあげられていました。さらにAKB48について私がツイートするとタイ語のアカウントにRTされるので、タイでのBNK48のただならぬ盛り上がりを感じます。


 そんな中で1位を獲得したのがAKB48の『Teacher Teacher』。その曲名に、AKB48の2006年のデビューシングル『桜の花びらたち』のカップリング曲「Dear my teacher」を連想した人も多いのではないでしょうか。


 しかし、「Teacher Teacher」は「Dear my teacher」よりもダンスオリエンテッド。EDMの要素を大きく取り入れたサウンドです。


 作曲にクレジットされているのは、陽向佑斗、早川博隆、Belex。編曲はBelex、早川博隆の順番でクレジットされています。


 陽向佑斗は2018年4月7日にTwitterを始めたばかりの新進作家。作家事務所である株式会社Graneの提携作家です。早川博隆も株式会社Graneの提携作家にして、作家事務所である株式会社Rebrastの代表。NGT48の「出陣」、STU48の「僕たちはシンドバッドだ」、乃木坂46の「風船は生きている」「忘却と美学」の作編曲にも関わっているなど、名前を覚えておくべきヒットメイカーです。


 そしてBelexも新進作家のようなのですが、今話題のDA PUMPの『U.S.A.』のカップリング曲「All 2 You」の編曲も担当している点に注目すべきでしょう。この楽曲の作編曲には早川博隆も名を連ねており、早川博隆とBelexは、はからずもAKB48とDA PUMPを結びつける存在になっています。ここ2週間のチャートを席巻しているふたりとも言えます。


 ちなみにDA PUMPの「All 2 You」はミディアムバラード。パンチの利きすぎた「U.S.A.」をあえてシングルにしたスタッフのセンスが光ります。


 さて、AKB48の「Teacher Teacher」に話を戻しましょう。カップリングのAKB48グループ センター試験選抜による「君は僕の風」は、サビのコード進行の開放感がいかにもAKB48という雰囲気です。


 Type B収録のTeam Kによる「終電の夜」は、サビのメロディが歌謡性を感じさせる楽曲。Type C収録のTeam Bによる「新しいチャイム」、Type D収録のTeam 4による「猫アレルギー」はともに爽やかな楽曲です。


 そんな中でも注目したいのは、Type A収録のTeam Aによる「ロマンティック準備中」。メンバーのボーカルとほぼ同じレべルで男性コーラスが入っており、ファンキーなリズムとともに、ディスコナンバーの作法を踏襲している楽曲です。作編曲は、「ラブラドール・レトリバー」などをAKB48に提供してきた丸谷マナブ。楽曲派におすすめなのはType Aでしょう。


 EDMに傾斜したサウンドプロダクションといい、DA PUMPと重なる作家陣といい、さまざまな面で現在のJ-POPらしいのがAKB48の『Teacher Teacher』なのです。(宗像明将)