新しいパワーユニットを搭載したトロロッソ・ホンダの2台が、モントリオールのジル・ビルヌーブ・サーキットを疾走した。
今回ホンダはアップデートしたICEをカナダGPに持ち込み、今シーズン3基目として2台のマシンに搭載した。それに併せて、ピエール・ガスリーはターボ(3基目)、MGU-H(3基目)、MGU-K(2基目)、ES(2基目)、CE(2基目)も一新した。ブレンドン・ハートレーはスペインGPでのクラッシュして、予定外の交換をしていたこともあり、ICE以外はこれまで使用したものを組み合わせたパッケージとなっている。
その新しいPUを搭載したトロロッソ・ホンダは、フリー走行1回目でどのチームもよりも多い周回を走行した。
「新しいICEということで、通常のグランプリよりもいろいろとやることがあったんですが、問題が発生することもなく、順調に金曜日のメニューをこなすことができました」という田辺豊治F1テクニカルディレクターによれば、「アップデートしたのは燃焼系ですが、それだけではありません。いままで溜めてきたノウハウをつぎ込んだステップアップになっています」という。
フリー走行1回目でガスリーが10番手、フリー走行2回目ではハートレーが12番手とまずまずのスタートを切った。一日のセッションが終了した後には、ハートレーがわざわざホンダのスタッフが仕事しているところへ来て、「良かったよ」と言ってきたそうだ。
ハートレーも新スペックに好感触の様子。
「最初の数ラップはドライビングを楽しんだ。僕たちは空力面でも少し実験的なことをやっていて、もう少しタイムは向上すると思う。モントリオールはPUのパワーも大切だけど、コーナーの出口でのトラクションもすごく重要だから、車体側でもタイムを刻めるようセットアップを改善していきたい」
初日18番手に終わったチームメイトのガスリーも、新しいPUの感触に関しては悪くないようだ。
「ブレンドンのタイムが示すように、トップ10争いには入っていると思う。いい週末のスタートが切れた」
そして、現場責任者の田辺TDは、2台ともまったく問題を発生させることなく初日を終えたことには満足していた。
「新しいスペックを投入するには、開発側も性能の確認から耐久性のテストまで行い、さらに物流など、ものすごい労力を必要とするので、現場を任されているわれわれとしては、それを今日問題なく走らせられたことに関しては、満足しています。これからデータを詳しく見て、さらに使い方でもっとパフォーマンスを引き出せるよう、さくら側とも相談して土曜日に備えたい」
モントリオールと日本との間には13時間の時差がある。初日のセッションが終了したのは日本時間の朝の4時半。新しいICEを投入したカナダGPはファンだけでなく、ホンダのスタッフたちにとっても、眠れない週末となりそうだ。