アルゼンチン国内のトップツーリングカー選手権、スーパーTC2000の第5戦ラファエラ・ラウンドが6月1~3日に開催され、シトロエン・トタル・レーシング・スーパーTC2000チームのファクンド・チャプルが、ワークスカーのシトロエンC4ラウンジで土曜のクオリファイレース、続く日曜のフューチャーレースを制し週末完全制覇を成し遂げた。
第3戦のメンドーサ以降、週末の予選レース、決勝レースを同一ドライバーが制する流れが続いている2018年のSTC2000シリーズは、このアルゼンチン北東部サンタフェ州にあるオーバルを基調としたラファエラのトラックでも再現されることとなった。
土曜予選でポールポジションを獲得したシトロエンC4ラウンジは、昨シーズンからシトロエンがワークスとしてシリーズに参戦し、今季からは同車のフェイスリフト・モデルを投入。昨季限りでチームを離脱したエステバン・グエリエリに代わりエースに昇格し、第2戦では勝利を挙げてもいるチャプルが2年目のマシン熟成を証明するスピードを見せた。
そのクオリファイレースでは、オープニングラップで現王者のファクンド・アルドゥソ(ルノー・フルーエンスGT)が他車と絡みセーフティカー(SC)が出動するスタートとなるも、シトロエンはリスタート後も悠々首位をキープ。
まずは10周のレースをポール・トゥ・ウインで決め、翌日曜の決勝レース制覇へ照準を合わせることとなった。
日曜もふたたびポールシッターとしてスタートを切ったチャプルは、3番手のセカンドロウから抜け出てきたTOYOTA GAZOO Racingアルゼンティーナのジュリアン・サンテロ(トヨタ・カローラ)を従えてホールショットを決める。
その背後では、サンテロのチームメイトで長年トヨタのエースを務めるマティアス・ロッシ(トヨタ・カローラ)と、ルノースポールの王者アルドゥソが3番手争いを展開中にブレーキング競争で両者ともにミスを犯して接触。シケインをカットしたアルドゥソはチーム・プジョー・トタル・アルゼンティーナのマリアーノ・ウェルナー(プジョー408)を抑えて3番手で復帰するも、ロッシはわずかにポジションを落としてしまう。
この後、6周目を終えた段階でレースダイレクターからアルドゥソ、ロッシに加え、サンテロのカローラに対しても“トラックリミット違反(シケイン不通過)”による10秒加算のペナルティを発令。トラック上で2番手、3番手まで浮上していたアルドゥソ、ロッシの2台はこれで14、15番手まで後退し、実質の首位争いはチャプル以下、シボレーYPFの16年王者アグスティン・カナピノ(シボレーYPFクルーズ)と、ルノースポールのエミリアーノ・スパタロ(ルノー・フルーエンスGT)との勝負となっていく。
続く10周目には前戦で連勝を飾っている同じくシボレーに乗るベルナルド・レイバー(シボレーYPFクルーズ)のマシンがパンクし緊急ピットインを余儀なくされる。同じ周には元WTCC世界ツーリングカー選手権レギュラーのネストール・ジロラミ(プジョー408)もハイドロリックのトラブルでピットへ。
11周目にはレイバーのマシンから飛散したタイヤデブリの処理でSCが導入されるると、14周目のリスタートでは後方でバトルを展開していたアルドゥソとロッシがふたたび接触。ホームストレート上で右フロントタイヤを失ったロッシのカローラがクラッシュし、再度SCランとなってしまう。
この機会に乗じてアタックを仕掛けたのは、10秒加算ペナルティを受けているサンテロのカローラで、19周目にレースが再開されるとシケインで首位チャプルのシトロエンC4ラウンジのインサイドにダイブ。激しくタイヤをロックさせながらも首位浮上に成功すると、そのままロスタイムを取り戻すべくチャージを開始する。
しかしこの動きが祟ったか、25周目に他車のアクシデントとときを同じくして、サンテロのカローラはオーバルコースで負荷の掛かる右フロントタイヤがブロー。ピットへと戻らざるを得なくなり、ここでトヨタ陣営のチャンスは潰えることに。
クラッシュとタイヤデブリの散乱によってこの日3度目の出動となったSCランの最中に最大時間50分を迎えたレースはチェッカー。シトロエンC4ラウンジのチャプルが見事に週末完全制覇を達成し、2位にルノーのスパタロ、3位にシボレーのカナピノが続く結果となった。
この週末のリザルトで選手権首位の王者アルドゥソは101ポイントとリードを拡大することに。ランク2位のカナピノが78、3位のリオネル・ペーニャ(ルノー・フルーエンスGT)が68、チャプルが67ポイントの4位に続いている。
次戦STC2000の第6戦は、7月21~22日にアルゼンチン中西部の州都サン・フアンにある、高速ストレートと8の字立体交差を持つ特徴的レイアウトのトラックで開催される。