6月7日にフィリピン・マニラで開催されたワールド・モータースポーツ・カウンシル(WMSC)で、WorldRX世界ラリークロス選手権が2020年から電気自動車でのみ争われる『エレクトリック・ワールド・ラリークロス・チャンピオンシップ(E-WorldRX)』へ変貌することが承認された。
サーキットレースとラリー競技の要素を併せ持ち、接触しながらのオーバーテイクやジャンピングスポットなどにより見ごたえあるレースが展開するラリークロスは、ヨーロッパや北米などで人気を集めている。
そんなラリークロスの頂点とも呼べるWorldRXは、これまで内燃機関を搭載したマシンで争われてきたが、2020年からEVマシンによって争われることになった。
レースで使用される車両は四輪駆動の“シルエットタイプ”。マシン前後にモーターを1基ずつ搭載する。搭載するバッテリーとマシンに使うシャシーについては共通部品となり、各チーム/メーカーごとの開発は行えない。
この共通部品に関して、シリーズ3年目の2023年まで、バッテリーはウイリアムズのワンメイク、シャシーはオレカのワンメイクとなる。
モーターやギヤなど“パワートレイン”はフォーミュラEと同様、開発可能エリアに制限を設けることで、コストの上昇を抑制するという。
プライベートチームについては、共通バッテリー、共通シャシーを使用していれば、FIAが認可する乗用車のボディワークを流用したオリジナルマシンでの参戦も可能だ。
なお、レースフォーマットについては現行のWorldRXのものを維持。練習走行と4つの予選ヒートを経てセミファイナルを2度行い、最終的なウイナーを決めるファイナルが行われる。
シリーズに参戦するチームは1チームにつき2台までエントリーさせることが可能で、シリーズではドライバーとマニュファクチャラーの世界王者が決定するほか、プライベーター向けのチームトロフィーも設けられた。
なお、マニュファクチャラーズタイトルについては、各メーカーが投入する車両のうち、上位4台のリザルトをもとにポイントが与えられるとのこと。
2018年シーズンはフォルクスワーゲンとアウディ、プジョーがワークス参戦しているWorldRX。2020年からはオール電動マシンの争いに生まれ変わることになるが、一部メーカーは電動化を見越してシリーズに関与しているとみられる。
また、これまでラリー界におけるEV導入は、走行距離の長さや衝撃に弱いというリチウムイオンバッテリーへの対策の難しさなどから、サーキットレースに比べると遅れを取っていたが、E-WordRXの登場により技術革新が進めば、EVへのシフトが急加速する可能性もありそうだ。