ABBフォーミュラE選手権に参戦しているDSパフォーマンスは、2018年末開幕の第5シーズンに投入する新型マシン『DS-TENSE-FE19』の開発ドライバーに、現在はテチーターからフォーミュラEを戦っているアンドレ・ロッテラーとジャン-エリック・ベルニュのふたりを起用すると明かした。
2018/19年のフォーミュラEは“Gen2”と呼ばれる大型のフロント/リヤウイングなどが備えられ、“バットモービル”風デザインに仕上げられた新型シャシーが登場。モーターパワーの引き上げ、バッテリー容量の増大によるレース中の車両乗り換え撤廃なども行われる。
また、このシーズン5からはニッサンが日本の自動車メーカーとして初のワークス参戦を行うほか、元F1ドライバーのフェリペ・マッサがベンチュリから参戦するなど、トピックスが多い。
フォーミュラE唯一のフランス自動車メーカーとして参戦しているDSパフォーマンスは、3月末にGen2マシンである『DS-TENSE-FE19』のシェイクダウンを終了。現在はファインチューニングの段階を迎えている。
先日、スペイン・カラファトでマシンの開発テストが行われ、ロッテラーとベルニュはここで開発ドライバーとしての初仕事をこなした。
DSパフォーマンスのディレクターを務めるクサビエ・メステラン-ピノンは、ロッテラーとベルニュを起用した経緯を「開発にはさまざまな調整が必要で、この作業にはスピードがあり経験豊富なドライバーが必要だった」と説明する。
「我々のフォーミュラEプログラムは勢いを増している。今シーズンの残りのレースを戦いながら、新型マシンの開発も急速に進めているのだ」
「“Gen2”マシンのデザイン作業などはすでに終了しているし、シェイクダウンなど開発初期段階も終えた。ここからは異なるシステムの調整作業といったステージに入る」
「この作業にはスピードと経験豊富なドライバーからのインプットが必要だった。チャンピオンシップをリードしているドライバーよりも、最適な人材がいるだろうか?」
「ふたりからのフィードバックは非常にポジティブで、我々が正しい方向へ進んでいることを示している」
2017/18年シーズンからフォーミュラEにレギュラー参戦し、第4戦サンティアゴE-Prix、第7戦ローマE-Prixで表彰台を獲得しているロッテラーは「Gen2マシン開発の機会を与えてくれたDSパフォーマンスには感謝している」とコメントした。
「新型マシンのドライブは大変素晴らしく、マシンを走らせる機会が待ちきれない。(現行マシンより)グリップがあって、パワーがあるから、ラップタイムの差がどう変化していくか興味があるよ」
また第9戦終了時点で3勝を挙げ、ポイントランキングトップにつけるベルニュは「Gen2マシンに乗れる機会は本当に限られているから、コースを走れるチャンスはとても貴重なんだ」と述べている。
「(テチーターのような)カスタマーチームはまだGen2マシンを持ってはいない。だから、Gen2マシン開発のチャンスを簡単に断ることはできなかったんだ」
なお、DSパフォーマンスは今季、ヴァージン・レーシングと提携し、DSヴァージンとしてフォーミュラEを戦っているが、一部メディアでは第5シーズンからテチーターと提携すると報じられており、ロッテラー、ベルニュの起用は提携に向けた布石とみられている。