DTMドイツツーリングカー選手権に参戦するメルセデスAMG・DTMチームHWAのウルリッヒ・フリッツ代表は、6月3日にハンガロリンクで行われた第6戦でのアクシデントに対し、「あの状況でのレース運営は極めて難しいものだ」とコメントした。
ハンガリー・ハンガロリンクで行われた2018年のDTM第3ラウンドのレース2では、決勝スタート直後に強い雨が降り、路面はドライから一気にウエットコンディションへ。
これを受けてトップを走っていたルーカス・アウアー(メルセデスAMG C63 DTM)がピットへ向かったが、ピットエリアは雨で滑りやすくなっていたため、作業エリアへ向けてブレーキングした際にマシンがスライドしてしまう。
コントロールを失ったアウアーのマシンはピットクルーやマーシャル、ファイヤークルーを跳ね飛ばしながらピットガレージ入口横の柱に激突。この事故で1名が救急搬送、5名が手当を受けた。
また、この直後にピットに入ってきたブルーノ・スペングラー(BMW M4 DTM)、エドアルド・モルタラ(メルセデスAMG C63 DTM)も同様にピット作業エリアで止まりきれず、スタッフを跳ねるアクシデントを引き起こしている。
一連のアクシデントを受けて、レースはセーフティカーが導入された後に赤旗中断。天候回復を待って再開され、BMW陣営が表彰台を独占する結果となった。なお、事故を起こした3名のドライバーにはレース終了後、失格裁定が下された。
チームを率いるフリッツは「これまでDTMを戦ってきたなかで、もっとも感情を動かされた週末だった」と週末をふり返る。
「これまでブタペスト(ハンガリー)では強さを発揮できていなかったが、走り出しから順調だった。1回目の予選の結果を受けて(ポールポジションと3番手)、BMWとアウディと比べても速さがあることが分かった」
「土曜日のレース1ではワン・ツー・フィニッシュを飾ったし、日曜日に行われた2回目の予選ではトップ5を独占して、『今日も最高の日になるぞ』と思ったが、これは最悪の形になってしまった」
「誰かが負傷するようなことがあれば、レース結果は二の次だ。ピットレーンで起きたことが明らかになったとき、すべての関係者がショックを受けた。負傷した方々が少しでも早く回復することを願っている」
アクシデント発生後、オーガナイザーが即座に赤旗を出さずにセーフティカーを導入したこと、ピットレーン上に救急車を停車させたことなどに批判や疑問の声が挙がっており、フリッツも「結果的にふり返ればもっと早く赤旗にすべきだった」としながらも「特に日曜日のような状況では、レース運営は極めて難しいものだ」と述べた。
「特にああいった状況では数秒のうちに判断を下さなくてはならない。しかし、その決断はコース上の安全だけでなく、チャンピオンシップや、ひいてはレースキャリアにも大きな影響を及ぼすんだ」
「今重要なのは連携して話し合いを進め、一体何が原因で事故が起きたのか、今後同じトラブルを起こさないようにどうするべきかを議論することだ。我々は事故が起きた直後に議論を始めている」