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苦戦続くトヨタのラトバラ「ポジティブな気持ちでサルディニアへ」/WRC第7戦イタリア 事前コメント

2018年06月06日 18:21  AUTOSPORT web

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ヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)
6月7~10日に開催されるWRC世界ラリー選手権第7戦イタリアに向けて、参戦するドライバーが意気込みを語った。

 全13戦で開催されているWRCの2018年シーズンにとって、第7戦とシリーズ折り返しの戦いとなるラリー・イタリア・サルディーニャは、イタリアの地中海に浮かぶサルディニア島を舞台に争われる1戦。

 イタリアでは1973年からWRCが開催されているが、その前身となるイベントは1928年から行われており、当時はイタリアの湾岸観光都市であるサンレモを舞台にターマック(舗装路)とグラベル(未舗装路)が入り交じるミックスイベントとして開催されてきた。

 サルディニア島での開催は2004年からで、現在は硬い地盤の上を軟らかい砂が覆うグラベルイベントとして争われている。

 マシンが走行するたびに路面を覆う砂がなくなり、地盤が露出することから、後続ほどタイムが出やすくなるが、特に2回目の走行では深い轍ができているため車高調整が必要になる。2018年大会で使用できるタイヤコンパウンドはハードとソフトの2種類だ。

 ラリーは7日(木)の現地18時(日本時間7日25時)にスタートするSS1で開幕。オープニングステージはサービスパークが置かれるアルゲーロにある、以前はモトクロス用として使用されていたトラックが舞台となる。

 本格的な競技初日となる8日(金)はSS2~9の8SS。島の北東部を舞台に合計122.86kmで争われる。基本的なステージ構成は2017年大会と同じだが、SS2、SS6のみ距離が延長されている。

 9日(土)はSS10~16の7SSで構成。1日の合計距離は約150kmと今大会最長距離を誇る。競技最終日の10日(日)はSS17~20の4SSで走行距離は42.04km。最終日に関しては2017年と同じステージ構成だ。

 5月17日付けで発表されたエントリーリストで最上位クラスには全16台がエントリー。ワークスチームは全チーム3台体制で名を連ねている。

 ただしシトロエンに関しては、既報のとおりエースドライバーであるクリス・ミークとの契約を終了したため、クレイグ・ブリーンとマッズ・オストベルグの2台体制となる。

 チャンピオンチームであるMスポーツの3台目、3号車フォード・フィエスタWRCをドライブするのはテーム・スニネン、ヒュンダイの3台目、6号車ヒュンダイi20クーペWRCをドライブするのはヘイデン・パッドンだ。

 そのほか、プライベーターとしてマーティン・プロコップ、ヤジード-アル・ラジ、フランス出身の“ピアノ”がフォード・フィエスタRS WRCでエントリーした。

 また下位クラスにあたるWRC2にはトヨタの育成プログラムに参画している新井大輝、勝田貴元がトミ・マキネン・レーシングからフォード・フィエスタR5で参戦。

 シトロエンもステファン・ルフェーブル、シモーネ・テンプスティーニのふたりに2018年下期の販売を予定しているシトロエンC3 R5のステアリングを託す。


Mスポーツ/ヒュンダイ陣営のコメントはこちら
シトロエン/トヨタ陣営のコメントはこちら





■Mスポーツ・フォード
●セバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタWRC)
「僕らには優勝争いに挑むスピードがあったから、(前戦の)ポルトガルは残念だった。小さなミスが大きな結果を招いてしまった。だけど、そのことは忘れて、サルディニアに僕らのすべてを捧げることに集中している」

「これまで何度もここで戦ってきたから過酷なステージの楽しみ方を学んだよ。美しい島だけど、いくつか非常にラフで研磨材のように荒れた路面もあり、簡単ではないラリーだ。マージンを維持して、スタートからフィニッシュまで集中力を保たなければならない」

「今年は”掃除役”ではないけれど、後続のよりクリーンな路面から恩恵を受けるドライバーたちと対峙する。それでも、好成績を掴む自信はあるよ。金曜の夜にリードを維持できたら、勝負できるはずだ」

●エルフィン・エバンス(フォード・フィエスタWRC)
「サルディニアは、僕にとっていつでも特別な場所なんだ。僕が初めてWRカーを運転した場所で、チャレンジングな性質のSSを楽しむためにやってきたんだ。もちろん簡単なラリーではないけれど、それがすごく楽しめる理由の1つだと思う」

「そんな過酷なイベントだから、注意しなければならないことがたくさんある。ステージ自体はすごくラフで研磨材のように荒れている。ドライビングでは、マージンをキープしなければならない。そうでなければ、始まる前からラリーは終わってしまう」

「それから暑さも忘れちゃいけないね。この時期は、気温が30度ぐらいまで達することが予想される。高温はマシンに負担をかける。さらに、コクピットの温度は50度以上になるから、クルーにも負担がかかるんだ!」

「ポルトガルでのいい結果の後だから、サルディニアでもその勢いを維持したいね。2日間のテストを終えたところで、金曜日は走行順も極めていい。それを最大限に活かす必要があるね。すべてが僕らの思いどおりに行けば、またいい結果にチャレンジできるはずだ」

●テーム・スニネン(フォード・フィエスタWRC)
「昨年はサルディニアのイベントに出なかったけれど、僕は2016年にWRC2で優勝してるから、その経験が今年役立つといいね。このレベルではどのラリーも難しいから、1つの些細なことが最終的な結果に影響を与える。サルディニアも同様だと分っているよ」

「事前に行ったテストが、すごく役に立ったよ。平均速度の低い場所での走行だったけど、そのぶん改善点に集中できるから、僕にとっては好都合だった。テストでも週末はかなり暑くなると思ったよ」

「通常は1日に3リットルの水分補給をするけれど、サルディニアでは1日に5リットル以上は飲むんじゃないかと予想しているよ! SSはかなりラフだから、ノートにはすべての石を記しておかなければならない」

■ヒュンダイ・モータースポーツ
●アンドレアス・ミケルセン(ヒュンダイi20クーペWRC)
「ラリー・イタリア・サルディニアは気温がとても高くなるイベントで、高い集中力が重要になる。たくさんの岩が飛び出ていて、パンクやマシンを壊す可能性もある。ステージの道幅はとても狭く、コブだらけで荒れているから、安定したマシンも必要だよ」

「僕たちはグラベル用にマシンを改善してきたから、感触が良くなったし、ポルトガルでも落ち着いていられた。サルディニアを前にしてポジティブな兆しだ」

「僕たちの目標はポイントを積み重ねてドライバーズランキングでの順位を上げることだし、一方ではマニュファクチャラーズランキングでチームのリードも広げたい。心身ともにタフなラリーだし、マシンとタイヤにとっても同じだ。でも僕たちは準備ができているよ」

●ティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)

「チャンピオンシップの首位に立って、サルディニアに向かうことになるけど、ここはカレンダーのなかでももっとも難易度の高いイベントのひとつだ。道幅はとても狭いし、2度目の走行時には路面がすごく荒れてしまうんだ」

「2度目の走行ではグリップレベルがとても高くなるけれど、初回の走行ではトラクションが足りないことが多い。トリッキーなコンディションになるけれど、ステージはどちからといえば僕のドライビングスタイルやペースノートシステムに合っているよ」

●ヘイデン・パッドン(ヒュンダイi20クーペWRC)
「まず、ポルトガルでのアクシデント後、闘志が湧いているのを感じている。僕はラリーに戻る準備ができているよ。(前戦ポルトガルでは)アクシデントが起きるまでは競争力のあるパフォーマンスを発揮できていたし、ステージ優勝を飾って首位を争えるところだったんだ」

「ラリー・イタリア・サルディニアは、シーズンのハイライトのひとつであることは間違いない。天気が良くて気温が高い地中海沿岸で開催されるんだ。ステージはとても曲がりくねっていて難しい。楽しめるラリーだよ」

「ここには素晴らしい思い出があるんだ。ここで2015年にWRCでの初表彰台を獲得したし、2017年には首位に立った。昨年やり残したことを終わらせたいよ」

■シトロエン・レーシング
●クレイグ・ブリーン(シトロエンC3 WRC)
「ここはWRCカレンダーのなかでも経験が少ないラリーなんだ。でも幸いなことに昨年からあまり変更点がないし、すでにほとんどのペースノートが手元にある」

「道幅が狭く難易度の高いステージで、流れるようなドライビングスタイルを採るのは決して簡単ではないから、必ずしも僕の好みのイベントというわけではない」

「それでも出走順は8番目という有利な順番だ。ここは掃除役がとても大変なイベントのひとつだからね。だから初日にこの出走順を大いに活用しようと思っている」

●マッズ・オストベルグ(シトロエンC3 WRC)

「このラリーは僕のお気に入りのひとつなんだ。僕はここではいつも速いからね。まず、内容が充実したペースノートが必要だ。そして、できるところではプッシュし、マシンが衝撃を受けるリスクがあるところでは守りに入るという、適切なバランスを見つける必要がある」

「ポルトガルでC3 WRCについて多くを学んだし、最後には充分に速いスピードを出すことができた。今週行われるイベント前の2日間のテストは、適切なペースを見出す役に立つだろう。特に僕は自分の有利な出走順をフルに活用しようと決めているからね」

■トヨタ

●ヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)
「サルディニアのラリーをいつも楽しんでいるよ。初めてサルディニア島のラリーに出場したのは2003年で、WRCが行われる前のラリー・コスタ・スメラルダ時代だった。路面はとても硬質な地盤の上に軟らかい砂の層があり、先頭走者としてSSを走る際は非常に滑りやすい路面に苦労させられる」

「また、道幅は狭いけど、正しいラインを通ればかなり速く走ることができる。前戦ラリー・ポルトガルでは2日間ミスをすることなく走り、自信を深めることができた。ヤリスWRCの運転をとても楽しむことができているから、ポジティブな気持ちでサルディニアに臨めるよ」


●オット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)

「昨年WRC初優勝を果たしたサルディニアは、僕にとって特別なラリーだ。今回も最上位のリザルトを期待しているし、きっと選手権の鍵を握る1戦となるだろう」

「前戦ポルトガルは望んでいた結果にならなかったから、今回はできるだけ多くのポイントを得ることが重要だ。ラリーに向けて可能な限りしっかり準備をするつもりだし、チームも本当に一生懸命仕事を進めている」

「クルマはアルゼンチンで非常に速く、ポルトガルでも良いフィーリングだった。パフォーマンスには心底満足しているから、その速さを結果に結びつけ、良い形でシーズンの前半戦を締めくくりたい」

●エサペッカ・ラッピ(トヨタ・ヤリスWRC)
「昨年は6本のSSでベストタイムを記録するなど、僕たちには速さがあった。それだけでなく、良い結果を残すこともできたから、今回のサルディニアをとても楽しみにしているよ」

「去年のサルディニア以降、多くのことを学んだし、クルマも大幅に進化した。ここ数戦はとてもリラックスして走れていて、ハードに攻める自信もついた」

「いまポイントランキング5位につけているから、金曜日のデイ2は早い出走順でSSを走ることになる。サルディニアは出走順の影響がとても大きいラリーだけど、前戦ポルトガルでは最後の2日間で早い出走順を経験したから、それほど心配はしていないよ」