今年も伝統の耐久レースイベント『ル・マン24時間』の季節がやってきた。WEC開幕戦スパ・フランコルシャン6時間に引き続き、フランスのル・マンでもメカ、ハコ車&スポーツカーマニアの“ヘンタイ”カメラマン、鈴木紳平が現地から気になる情報をお届け。2回目の今回は、6月3日(日)に開催された“ル・マンテストデー”直前の車検から走行日までの様子をお馴染みのマニア目線(?)でお伝えします。
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皆さまいかがお過ごしでしょうか。日本は西日本から関東までの広い地域で梅雨入りしたと聞いていますが、ここル・マンもこのところは雨が降り続き、太陽を拝めない日々が続いております。故に、今ブログも橋幸夫/若草児童合唱団が唄う『子連れ狼』を聴きながら書いております。
それではさっそくル・マンテストデイ、車検日から日曜日までのブログ第2回目、張り切っていってみましょう!
テストデイ、車検日であります。LMP1勢の車検は金曜日の9時から10台が連続してチェックされます。LMP1勢の中でも不気味な存在、SMPレーシングのBRエンジニアリングBR1・AERにトヨタの皆さんから熱い視線が注がれます。
今年のル・マンはLMP1ワークスのトヨタ対プライベーターの戦いに注目が集まっていますが、プライベーター間の戦いも熾烈を極めそうです。
レベリオン・レーシングのメカニックの皆さま、ジネッタに対してもの凄いメンチを切っています。吹き出しをつけるすると「お前ら隣町のジネッタ高のやつらだべ」もしくは、「お前ら金あんのかよ」といったところでしょうか。
その全開でメンチを切っているレベリオンが走らせるレベリオンR13・ギブソンですがサイドポンツーン上部にダクトが設置されています。リヤブレーキの冷却用のようですが私的には落とし物をした時の事を心配してしまいますが、某メーカーの空力担当者は「有名観光地みたいに気付いたらお賽銭とか入れられてそう」と仰っていらっしゃいました。
一方、こちらは車検終了後にホームストレート上で行われる記念写真の一コマです。LM-GTEプロクラスに参戦するコルベット・レーシングの皆さんですが、一番奥左側のメカニックの方はグラベルへ行って大きめの石を見つけると、自分で股を覗きながらその石をウンチに見立ててお尻から落としたりします。
何かのおまじないか願掛けだと思いますが、アメリカからの刺客、とにかく陽気です。
続いてはピットをぶらぶらしてみましょう。こちらはコルベットのライバルとなるLM-GTEプロクラスのBMWチームMTEKのピット前ですが、M8 GTEの全長が長いせいか規定通りに車両を停止させると後ろとはもう隙間がありません。
スーパーGTのタイラウンド初年度を思い出しますが、もし雨が降ってきて一斉にピットインなどという事態が発生した場合は修羅場になりそうな感じがします。カメラマンの皆さま気を付けましょう。
そのBMWのピット前では82号車BMWをドライブするアントニオ・フェリックス・ダ・コスタさんがリフティングに興じていますが、なかなかのボールさばきです。
某アニメの“ボールはともだち”という言葉を思い出しますが、サーキットではサッカーワールドカップに合わせてレースウイーク中に何やらイベントが行われるようです。
こちらではジネッタのピットストップ・プラクティスが始まりました。一眼レフを持った少年が熱い眼差しでモニターを見つめています。
ファインダーではなくモニターを見ながら撮影しているところに時代の移り変わりを感じざるを得ませんが、この少年も将来レースカメラマンになってしまうのでしょうか。
その少年が車検から帰って来たロスマンズカラーを模した91号車ポルシェ911 RSRを激写しています。少年の心にロスマンズカラーやポルシェ991はどストライクなのでしょう。
きっと撮影した写真を家に帰ってからニコニコしながら見るのでしょうが、まっとうな人生を歩むことを願って止みません。
さて、お待ちかねのジェンソン・バトンさん登場です。真っ新なSMPブルーのレーシングスーツが似合っています。とにかく背が高くいい男です。同じ霊長類とは思えません。
ただ奴もバツイチ、いつかそれを肴に肩を並べて一杯やってみたいです。
バトンさんはサインにも気さくに応じます。この時にバトンさんが左利きということを知りました。
そのバトンさんがル・マンで使用するヘルメットがこちら。お馴染みの“ジェイビー”が無いのがちょっと残念です。
そして今年はこの方がWEC富士に帰ってきます。この写真を撮影した日が誕生日で62歳(!)になられた“鉄人”ヤン・ラマースさんです。今年もLMP2クラスのレーシングチーム・ネダーランドの29号車ダラーラP217・ギブソンでル・マン24時間、そして同車でWECにフル参戦です。(※)
御本人は日本で最後に走ったレースを覚えていらっしゃいませんでしたが、とにかくあのヤン・ラマースが日本でレースをします。まずは皆さん黄色のカラーリングの29号車の走りに注目です。ル・マンでの活躍に期待しましょう。
※編集注:レーシングチーム・ネダーランドは今年3月、WEC第3戦シルバーストンからマクラーレン育成のニック・デ・フリースをラマースの後任ドライバーとして起用することを発表しています。
こちらはLMP2クラスのGドライブ・レーシングを率いるロマン・ルシノフさんです。最近はWECスパ、ELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズ第3戦モンツァと勝ちまくって、乗りに乗っているルシノフさん。
前回のWECスパブログでも書きましたが私的にとても気になるドライバーでした。編集を説得した結果、晴れてオートスポーツ特別編集『ル・マン24時間 2018』でページを設けることになりました。
私が抱いていたイメージとはまったく違い、とても紳士な方で丁寧に対応して下さいました。皆さん、ルシノフさんへの24の質問、楽しみにしていてください! ただ、ちょっと俳優の‘寺島進’さんに似ていると思うのは私だけでしょうか。
そしてこちらは私がWECスパの予選で勝手に開催した第1回『オー・ルージュ進入壁寄せ選手権』のLMPクラス優勝者、シグナテック・アルピーヌ・マットムートの36号車アルピーヌA470・ギブソンを駆るピエール・ティリエさんです。表彰内容を伝えたところ以外にも喜んでくれました。サムアップの右手が力強いです。
こちらはLMP1プライベーターのドラゴンスピードのピットですが、このロゴを見つけた時思わず爆笑です。
どうやらイタリアのレース用ECUなどを扱う会社のようですが、『on』の書体がかつて隔週で発行していたレース雑誌『Racing on』の書体とそっくりです。シリアスそうな雰囲気だったので話は聞けませんでしたが、どう見ても書体をパクったとしか思えません。
一方こちらはコース下見から帰って来たトヨタのフェルナンド・アロンソ様です。カメラ目線の後サムアップです。何かとてもル・マンをエンジョイしている感があります。
ご機嫌なアロンソ様はサインもしちゃいます。この後お客さんのセルフィーにも応じたりサービス満点です。
そのアロンソ様が駆るトヨタTS050ハイブリッドですが、私的に昨年からとても気になっている部分があります。フロントタイヤ後部に貼られている“P1”ロゴ部のスリットがそれです。
空力的造形のようですが、空力担当者に話を聞くと「あれは寿司太郎の海苔」という答えが返ってきます。
ただ私的にはどうしてもあのスリット、海外出張の際よく乗るボーイング777-300ERのトイレ内洗面台の排水溝に見えてしまいます。空力担当者の方申し訳ありません。
さあテストデイ恒例の全車整列撮影が始まります。陽炎のなかLMP1勢が姿を現しました。脳内では『西部警察』のメインテーマ(PART III)が流れ、各車両がスーパーZやRS3兄弟に見えてきます。右端の工事用車両は大門団長がすっくと立っている放水車サファリのようです。
整列が始まったストレート上、某メーカーの空力担当者の方が不気味な存在であるBRエンジニアリングBR1・AERを写メっています。とよく見るとその後ろからその風景をニヤニヤしながら見つめる爺様がいます。
この爺様こそBR1の空力責任者(SF14の空力も担当した)ダラーラのルカ・フィニャーカさん。カメラマンの間では、「あの車はル・マンでもサーキットじゃなくて隣の飛行場で走った方がいい」とか「スタートしたら3台だけ飛行しながら周回するから撮るのが大変だな」などと言っていましたが、対策が功を奏したのかまずは無事にテストデイを走り切って一安心といったところでしょうか。
その横ではバトンさんがトヨタTS050ハイブリッドをガン見です。ですがさすが英国紳士、覗き込むようなことはしません。
迎えた日曜日、いよいよ走行開始です。チームメイトのセバスチャン・ブエミの走りを見つめるアロンソ様。何故か『家政婦は見た』の市原悦子状態になっています。
フォードシケインのアウト側へやって来ました。まだまだテストデイ、消防士さん達もまだまだリラックスです。ただ気になるのはカメラを持っているオフィシャルの目の前をアロンソ様駆る8号車トヨタが走っているというのにレンズを向けないとはどういうことでしょうか?
そして皆さんご存知のようにロスマンズカラーが復活しました。願わくばエンジンブローなどで白い煙を吐くことがないようお願いしたいと思います。
さて今ブログ最後はLMP2クラスに参戦するユナイテッド・オートスポーツのファン・パブロ・モントーヤ様の変顔でお別れです。
次回更新は公開車検後を予定していますがどうなりますでしょうか。それでは皆さまごきげんよう、さようなら。