F1ジャーナリストの今宮純氏がF1界でホットな話題を紹介する新コラム、リストにすると多くのトラブルが見えてくるマックス・フェルスタッペンや、第6戦モナコGPを終えた時点ですでに解雇されたエンジニアが続々と……。
----------------------------------
(1)マックス・フェルスタッペン、開幕からモナコGPまで“6戦連続記録”を続行中
父親ヨスさんもスピンやアクシデントが多いドライバーでした。96年にはモナコ0周クラッシュ・リタイアから、年間6回(キャリア107戦中20回の“事故率”)。今シーズン、息子のマックスは……。
第1戦オーストラリアGP:決勝10周目、1コーナーで5位走行中に単独スピン、6位入賞(ぎりぎりセーフ)。
第2戦バーレーンGP:予選Q1でスピン激突、予選15番手。決勝2周目にはルイス・ハミルトンと接触、デフ破損でリタイア(自滅アウト)。
第3戦中国GP:決勝43周目にセバスチャン・ベッテルと接触、10秒ペナルティの末に5位入賞(なんとかセーフ)。
第4戦アゼルバイジャンGP:FP1の6コーナーでクラッシュ。決勝40周目の1コーナーでダニエル・リカルドと同士討ち、全滅リタイア(完全アウト)。
第5戦スペインGP:決勝43周目、VSC解除時にセルゲイ・シロトキンと接触、フロント・ウイング破損も3位入賞(しぶとくセーフ)。
第6戦モナコGP:FP3でクラッシュ、予選出走できず最後尾スタートから9位入賞(自滅アウトまぬがれる)。
この6戦連続アクシデント記録、第7戦カナダGPでもう止めないと……。
(2)名門、古豪の大物エンジニアに容赦なき“解雇処分”の嵐
チーム人事ニュースが続々発表されています。大学スポーツと違うプロスポーツF1の厳しさ、大物技術監督だろうと結果責任を問われ、即、解雇処分に。
・4月末:マクラーレンTD(テクニカルディレクター)のティム・ゴス氏(90年代から長年勤務)。
・5月2日:ザウバーTDのヨルグ・ザンダー氏(昨年復帰したばかり)。
・5月10日:ウイリアムズ設計者のエド・ウッド氏(12年間も在籍)。
・5月28日:フェラーリ設計者のシモーネ・レスタ氏(突然離脱、ザウバーに異動)。
それぞれ理由があるはずだがどのチームもリリースでは、「長年の功績に感謝し今後の成功を祈る」と美辞麗句。追われた彼らもどこかまた要職に就くのがこの業界。春一番の嵐、4チームの大物が“粛清”されたのは前代未聞でも、若手エンジニアにはチャンスと言える。
(3)2019年は1.5秒遅くなっても、オーバーテイクは増える(はずですか)
また朝令暮改です。17年からスピードアップ化をめざし、空力面の規制緩和を実施。コースレコードが次々更新されたもののオーバーテイク激減と騒がれると、19年から再び“規制強化”に。
・フロント・ウイング ⇒ 幅200cm(20cm増)、シンプル形状化。
・バージボード ⇒ フィン、スリット、スプリッターETC類を制限。
・リヤウイング ⇒ 2cm高く、10cm幅広く、DRSオープン・ギャップ85mmに(20mm増)。
ダイナミック・ダウンフォース発生量を減らす。後方乱流を抑える。接近能力を0.8秒以内まで可能にする。そしてDRS使用時の速度向上を促進。これが19年空力規定改訂案のようで想定ではラップタイム1.5秒遅くなっても、オーバーテイクは増える(はず?)。アップデート開発中のエアロパーツの賞味期間はあと半年。いっそ『ウイングカー(グランド・エフェクト)』に回帰したらどうでしょう。
(4)超高速化オーストリアGP、ラップタイムは1分切る(!?)
MotoGP第11戦オーストリアが開催されるレッドブル・リンクで、6月5日MotoGPホンダのエース、マルク・マルケスがトロロッソF1をドライブ。かつてバレンティーノ・ロッシがフェラーリ、ホルヘ・ロレンソがメルセデスのマシンを経験したが、まさかブレンドン・ハートレーのシートを“意識”したテストではないでしょう。
さて昨年レッドブル・リンクではハミルトンがPP1分04秒251、16年予選Q2ベスト1分06秒228を1.977秒短縮。さあ今年はラップ64秒台から何秒速くなるか、限りなく60秒台に迫るか。超高速ショートコース、平均スピードはシルバーストンを超え、目まぐるしい71周に……。
#MM93 @redbullmotors pic.twitter.com/9sJrmIJMTr
(5)6戦で3チーム×2勝ずつ、87年以来の拮抗・三つ巴パターンに
モナコGPにレッドブルのリカルドが2勝目、メルセデスのハミルトン、フェラーリのベッテルと並んだ。この序盤展開は、そう、87年までさかのぼります。初戦&第3戦=マクラーレンのアラン・プロスト、第2戦&第6戦=ウイリアムズのナイジェル・マンセル、第4戦&第5戦=ロータスのアイルトン・セナが勝利。でもシーズン覇者は彼らではなく、第8戦ドイツGPでやっと1勝目をものにしたネルソン・ピケでした。チャンピオンシップの行方はこれくらい波瀾万丈であってほしいものです。