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ギャル男から若手エリート社長まで 1人の人間の変化を演じ分ける三浦翔平が積み重ねた“10年”

2018年06月06日 06:51  リアルサウンド

リアルサウンド

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 『正義のセ』(日本テレビ系)の大塚仁志役、『会社は学校じゃねぇんだよ』(AbemaTV)の藤村鉄平役を好演し、今改めて注目したい俳優である三浦翔平。同時期にガラリと雰囲気を変えた2つの役柄が放送されるというシビアな状況でありながらも、その実力を世間に知らしめている。


体当たりの芝居に挑戦する三浦翔平【写真】


 彼の携わる作品からは、今年でデビュー10周年となるキャリアに相応しい、芝居への実直さが伝わってくる。三浦は、2008年に『ごくせん』第3シリーズ(日本テレビ系)にてテレビドラマ初出演。その後、2011年に『花ざかりの君たちへ~イケメン パラダイス2011』(フジテレビ系)でメインキャストの1人である中津秀一を演じる。その後もコンスタントに出演を続けるものの、主演作品は今回の『会社は学校じゃねぇんだよ』が意外にも初めて。しかし、やんちゃ系からクール系、オラオラ系から年下男子まで、幅広い役柄を器用にこなせる三浦だったからこそ、主演という冠がなくとも多くの人が知っている人気俳優になれたように思う。


 三浦が演じてきた役は、非常に振り幅が大きい。『正義のセ』では、ヒロインをリードするようなクールでしっかり者の先輩役を演じている。一方過去には、『ダメな私に恋してください』(TBS系)で、愛らしく一途な若手社員を演じ年下の魅力を発揮。現在放送中のドラマ『会社は学校じゃねぇんだよ』では、一つの作品の中で、ギャル男~新入社員~若手エリート社長と1人の人間の変化を演じ分ける。これらの役の振り幅は、一朝一夕で手に入れられるものではない。10年という長いキャリアの中で、三浦自身が自分の強みとして磨いてきた部分であると感じる。


 実は先日で30歳を迎えた三浦。『会社は学校じゃねぇんだよ』の第1話~第4話までは、実年齢より若い役どころから徐々に年齢を上げていく様子を器用に演じている。特に印象的だったのは、自分より10歳程度も若いであろうと推測できるギャル男時代の藤村鉄平の独特な“ノリ”。若い人の持つ独特の間合いを、三浦は巧く再現していた。


 藤村という役は、2000年代を生きる若年層の男性にとって、ある種の“夢”を体現している。それをリードする役として、最先端を走り抜ける三浦に違和感があっては、ドラマが成立しない。そんな中、若い頃の藤村を器用に演じきり、体当たりの芝居で作品を盛り上げた。時には床に落ちたスパゲティを手づかみで食べ、時には大勢の前で全裸になるシーンにも挑戦する。芝居に対する前のめりな姿勢が、作品の面白さに加勢しているのだと感じた。


 デビュー10周年というメモリアルイヤーに初主演という快進撃が止まらない三浦。未だに若者を演じさせても違和感を感じさせない鮮度の高さには感服した。今後の三浦の活躍に期待を持ちつつ、まずは『会社は学校じゃねぇんだよ』を最終話まで見届けたいと思う。


(Nana Numoto)