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「俺が辞めさせてやる」風俗嬢に600万円援助した男性、仕事再開を知り「金返せ」と激怒

2018年06月05日 10:32  弁護士ドットコム

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風俗をやめることを条件に600万円も援助したのに、約束を破られた。ケジメとしてお金を返してほしいーー。弁護士ドットコムの法律相談コーナーに、このような投稿が寄せられました。


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相談者の男性は6年前、風俗嬢である女性と知り合いました。当時、彼女は看護大生で多額の借金を抱えていると聞いたため、男性は「借金を完済したら2度と風俗では働かない」という約束をして、借金や食事代、旅行代など計600万円を援助してきました。


ところが相談者は先月、約束を破って風俗で働いている彼女を見つけてしまいました。男性は「騙された慰謝料含めてどの程度取れるものなのでしょうか?」と尋ねています。援助したお金は返してもらえるのでしょうか。寺林智栄弁護士に聞きました。


●600万円は「贈与に該当すると考えるべき」

「今回の相談者が行った『援助』をどのように解釈すべきかが、まずは問題となります」


寺林弁護士はそう話します。男性がこれまで女性に援助してきた600万円は、どのように捉えるべきでしょうか。


「一見貸金であるようにも思えますが、返済に関する約束はないようですし、借用書もないようです。ですから、今回の件は、『お金をあげた』、つまり、贈与に該当すると考えるべきでしょう」


●相手に渡したお金を「取り戻すことはできない」

では、贈与したお金は、返してもらうことができるのでしょうか。


「民法という法律では、『書面によらない贈与は、各当事者が撤回することができる』(550条)と定められています。今回の件では、お金を援助するにあたって、相談者と女性との間で書面を取り交わした形跡はなさそうです。そうすると、相談者は贈与を撤回して、お金を返してもらうことができるようにも思えます。


しかし、民法は、同時に『ただし、履行の終わった部分については、この限りではない』と定めており、書面を交わさずに行った贈与でも、既に一部ないし全部が履行されている場合には、撤回することはできないとしているのです


相談者は、既に600万円を女性に手渡し済みですから、贈与の履行が終わっていると考えざるを得ません。そうすると、撤回することはできませんので、お金を取り戻すことはできません。


今回の女性のような手口で、お金を他人からせしめるやり方は、決して少なくありません。


そして、気安く手渡したお金が戻ってくることも、まずありません。『かわいそうな話』の裏には何かあるかもしれないと、警戒することが必要です」


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
寺林 智栄(てらばやし・ともえ)弁護士
2007年弁護士登録。東京弁護士会所属。法テラス愛知法律事務所、法テラス東京法律事務所、琥珀法律事務所(東京都渋谷区恵比寿)を経て、2014年10月開業。刑事事件、離婚事件、不当請求事件などを得意としています。
事務所名:ともえ法律事務所
事務所URL:http://www.tomoelaw323.com/