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人手不足が深刻な業界「情報サービス」「運輸・倉庫」 非正社員では「飲食店」などサービス業で顕著

2018年06月05日 07:01  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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帝国データバンクは5月中旬、「人手不足に対する企業の動向調査」(2018年4月時点)を発表した。調査は今年4月16日~30日、全国の2万3118社を対象に実施。そのうち9924社から回答を得た。

企業に現在の従業員の過不足状況を聞いたところ、正社員が不足していると回答した企業は49.2%。前年4月時点の43.7%から5.5ポイント上昇し、4月時点の割合としては過去最高を記録した。

通常、4月は新卒社員の採用があるため人手不足が緩和されるが、その中でも企業は働き手の確保に苦戦している様子がうかがえる。

「リース・賃貸」「機械製造」分野で人手不足が急速に進む

正社員が「不足している」と答えた企業は、2016年4月(37.6%)、2017年4月(43.7%)と比べて着実に増加している。

業種別で見ると、「情報サービス」が69.2%。「運輸・倉庫」(64.1%)、「建設」(64.0%)、「飲食店」(63.6%)、「放送」(61.5%)が続いている。また、「リース・賃貸」(59.2%)、「機械製造」(55.8%)では、前年同月比で10ポイント以上上がっており、人手不足が急速に進んでいる。

企業規模別では、「大企業」は57.2%と約6割に上り、企業規模が大きいほど人手不足が深刻なようだ。一方で、「中小企業」(47.2%)、「小規模企業」(43.8%)でも4割が働き手の不足を感じている。

「需要はあるが人手不足から、供給が追いついてないのが現状」

非正社員が「不足している」と答えた企業は32.1%。前年4月の29.6%から2.5ポイント上昇し、3割台に上った。

業種別では「飲食店」(77.3%)が最も多く、「飲食料品小売」(73.1%)が続き、両業種では人手不足を訴える割合が7割台と、高水準となっている。

ほかには、「電気通信」(58.3%)、「メンテナンス・警備・検索」(56.7%)、「家具類小売」(55.6%)が続いた。上位10業種中で6業種が小売や個人向けサービスが占め、実際に消費者と接する機会が多い業種での人手不足感が強まっている。

企業規模別では「大企業」が36.2%で最も高く、「中小企業」(30.9%)、「小規模企業」(30.5%)が続いた。

企業は現状をどう見ているのか。自由回答には、

「依頼される業務はあるものの、依然として人手不足なため割り振りできない案件が多々ある」(ソフト受託開発、東京都)
「人材確保のために人件費を上げざるを得ない」(印刷物加工、大阪府)
「需要はあるが人手不足から、供給が追いついてないのが現状」(一般管工事、沖縄県)

など、人材が不足しているために健全な経営が困難だ、という嘆きが寄せられている。

一方で、「人手不足および人件費の向上で生産設備の自動化・省力化が進んでいる」(電気機械器具卸売、神奈川県)など、働き手が集まらない状況をプラスにとらえるケースもあった。少子高齢化の影響で、労働人口の減少は必至だ。この機に乗じて機械化などイノベーションを進めようという前向きな動きもあるようだ。