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WEC:スパで“離陸”したBRエンジニアリング、ル・マンに向け改良。「離陸の可能性をゼロに」

2018年06月04日 17:31  AUTOSPORT web

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SMPレーシングのBRエンジニアリングBR1・AER
2018/19年のWEC世界耐久選手権“スーパーシーズン”のLMP1クラスへシャシーを供給しているBRエンジニアリングは、第1戦スパ・フランコルシャンで起きたマシンの“離陸”事故を受けて、マシンにアップデートを施した。

 ロシアに本拠地を構えるBRエンジニアリングは、イタリアの名門、ダラーラが協力してLMP1用シャシー『BR1』を開発。同クラスを戦うドラゴンスピード、SMPレーシングに計3台を供給している。

 このうちドラゴンスピードの10号車BRエンジニアリングBR1・AERは、5月4~5日に行われた第1戦スパ・フランコルシャンの予選アタック中に高速コーナーであるオー・ルージュの進入でコントロールを失うと、ハイスピードでタイヤバリアに激突。搭乗していたピエトロ・フィッティパルディが両足を骨折する重傷を負った。

 また決勝レースではSPMレーシングの17号車BR1・AERがオー・ルージュの立ち上がりで空を舞い、高速でタイヤバリアに激突するアクシデントを起こしている。

 幸い、ドライブしていたマテボス・イサーキャンは大きな怪我を負わなかったものの、ふたつのアクシデントを受けて、より高速なル・マンのサルト・サーキットでさらなるアクシデントが起きないか、懸念の声が上がっていた。


 事故を受けて、BRエンジニアリングはル・マンへマシンフロント側、タイヤハウス上部の形状を変更するなど改良を施し、フロントのダウンフォース増大を図っている。

 レギュレーションでは、マシンの認証締め切り日である4月18日以降、ル・マン用ボディワークの改良は禁止されているが、今回は安全面が理由の改良となるため、FIA、ACOからは特別に許可が下りる可能性が高い。

 テストデー前日、BRエンジニアリングのスポークスマンは「マシンが離陸するには、さまざまな要素が複雑に重なりあう必要があり、極めてまれな事例だが、発生確率はゼロではない」と述べた。

「我々はFIAと連携しながらその可能性をゼロにするべく作業を進めている。マシンのフロントにある空力パーツを変更して、フロント側のダウンフォースを強めようとしている」

「テストデーでは3台のデータをモニタリングするつもりだし、FIAにはすべてのデータを開示するつもりだ。彼らも状況を把握したがっているからね」

 なお、スポークスマンは、この改良でマシンのパフォーマンスにも影響が出るとしたものの、「影響はコンマ数秒、1時間あたり数キロメートルにとどまる」との見方を示している。

「正確には走ってみないと分からないが、ル・マン用のエアロキット導入に先駆けて、各チームにはあらかじめセッティングの上限値を伝えてある。だからパフォーマンスには自信があるんだ」

「エンジンに関しても、開発期間に充分なマイレージを稼いでいるし、スパでも性能は証明できた。問題はないはずだ」