マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)が、MotoGP第6戦イタリアGPで転倒を喫した。決勝レースが行われた日曜、気温は29度、路面温度51度となったムジェロ・サーキット。ホンダ勢はこの週末、柔らかすぎるタイヤに苦戦していたといい、マルケスもそのひとりだった。
マルケスが決勝レース中に転倒を喫するのは珍しい光景ではないだろうか。確かにフリー走行などのセッションでは、しばしば転倒している。実際、このイタリアGPの週末もフリー走行では転んでいた。しかし、決勝レースでの転倒は2017年第5戦フランスGP以来約1年ぶりだ。
イタリアGPの週末、マルケスはタイヤのフィーリングをつかむのに苦労していた。金曜のセッション後、土曜の予選後ともに「タイヤが少しソフトすぎる」という旨のコメントをしている。迎えた決勝レース、マルケスが選んだのはフロント、リヤともにハードタイヤ。コンディションはウィークを通じて最も暑い気温となった。
しかし、マルケスは決勝レースで「それほど苦しんではいなかった」と言う。6番グリッドからスタートしたマルケスは、3番手、2番手と順位を上げながらトップを走るホルヘ・ロレンソ(ドゥカティ・チーム)を追っていた。転倒を喫したのは2番手を走行中のことだ。
5周目の10コーナーで、マルケスはかくりとフロントタイヤを切れ込ませた。それでもなんとか立て直しを試みたが、最後は右ひじや右ひざとマシンの右側をコースに擦らせながらグラベルに滑っていった。
「フロントが突然切れ込んでしまったんだ。激しくプッシュしていたわけじゃないのにクラッシュしてしまった。なんとか転倒を回避しようとしたんだけどね! (バイクを引き越して)レースに復帰したけれど、僕のペースはそれほど悪くなかった。バイクが少しダメージを受けていたにもかかわらずね。それについてはよかったよ」
大きなクラッシュではなかったため、マシンを引き起こしたマルケスは戦線に復帰。最後尾から追い上げ、ポイント獲得まであと1ポジションの16位でイタリアGPを終えた。
「まだポイントランキングで23ポイントのアドバンテージがある。これはポジティブなことだよね。去年(2017年)はトップから37ポイント差があったんだから。今日のことは僕がずっと言い続けてきたことのいい例だと思う。つまり、今年(2018年)はとてもタイトなチャンピオン争いになるだろうということ、そしてシーズンは長く何が起こるかわからないということさ」
イタリアGPはノーポイントレースに終わったが、マルケスはチャンピオンシップのポイントリーダーの座を守った。ランキング2番手に浮上してきたのは、イタリアGPで3位表彰台を獲得したバレンティーノ・ロッシ(モビスター・ヤマハ・MotoGP)。マルケスが語るとおり、チャンピオンシップでは「何が起こるのか」、まだまだわからない。