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浜辺美波&中村倫也、互いを補完する名コンビ! 『崖っぷちホテル!』第1話から変化した絆

2018年06月04日 13:11  リアルサウンド

リアルサウンド

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 老舗ホテル再建に向け、従業員たちが奮闘する姿を描いた日曜ドラマ『崖っぷちホテル!』(日本テレビ系)。ドラマ開始当初は「威厳0の総支配人」「クセものだらけの従業員」と呼ばれていた彼らも、今では立派なホテルマンとして成長を遂げている。6月3日に放送された第8話では、マナヒラ王国より7人の王女がホテル「グランデ インヴルサ」に宿泊する。従業員たちは「総力戦」で、彼女たちに最高のおもてなしをすることになった。今回着目するのは、7人の王女のホテル滞在の目的でもある「忘れられないディナー」づくりに奮闘するハル(浜辺美波)&江口(中村倫也)コンビである。


参考:岩田剛典「ワクワクしませんか」に込められた信念 『崖っぷちホテル!』宇海から目が離せない


 ドラマ開始時からハル&江口コンビは印象的だった。底抜けに明るくマイペースを貫き、空気を読まないハル。そんな彼女を軽くあしらい受け流す江口。浜辺が純粋すぎるまっすぐな目でハルをイキイキと演じるのに対し、中村は「競艇狂い」というキャッチコピーを感じさせる独特の気だるさを演出する。第1話ではどこかやる気のなさそうな雰囲気が漂っていた。江口がハルと会話するとき、動物をなだめるような目で対応するのが面白い。とはいえ彼は、ハルが行き詰まるとさりげなく助言し、彼女をフォローする。ハルと江口の関係が、決して一方通行ではないことを表している。


 第8話、王女たちのホテル滞在の目的が、かつて王が経験した「忘れられないディナー」を体験してくることだと判明する。しかし国王の宿泊記録が見当たらず「忘れられないディナー」が何なのかわからない。そのことに不安を見せる江口だったが、それに対しハルは「わたしたちがつくればなんでも特別ですよ」「燃えますね、江口さん」とやる気満々である。第1話では空気の読めなさが際立っていたハルだが、浜辺は決して演技を変えているわけではないだろう。宇海の名台詞「ワクワクしませんか」と同様、彼女は何事も「ワクワク」で捉えることができる人物なのだ。前向きすぎるハルというキャラクターと演じる浜辺の満面の笑顔を見ていると、視聴者も思わず「ワクワク」してしまうのではないだろうか。


 業務目標である「ワクワクして仕事をする」からヒントを得て、「自分がつくりたいもの」を提供することに決めたハルだったが、なかなかアイデアが浮かばない。そんなハルを見つめる江口は険しく、厳しい目つきだったが、「外の空気吸ってこい」「お前天才なんだろ。だったらひらめくまで待つしかねえじゃねえか」と声をかける。総料理長である彼女をフォローする江口なりの優しさだ。「どんな料理を思い付いてもいいように、一通り下ごしらえしとくからよ」と話す江口は、決してハルの方を見ない。あえて「待つ」という行為に徹した江口からは、ハルへの信頼の強さが感じられる。


 ドラマ終盤、停電が起き、王女たちのために他のホテルを手配しようとする場面で、江口は「待ってほしい」と王女たちの前で頭を下げる。「約束をしたと言っていました。絶対に忘れられないディナーにすると」そう話す江口の表情は、従業員たちの前で見せる気だるそうな顔ではなく、真摯だ。総料理長であるハルがつくる「忘れられないディナー」を提供するために、スーシェフ(副料理長)として彼女を支えている。王女たちにハルが提供した「忘れられないディナー」は無事成功する。王女たちが笑顔で食べている姿を見て、ハルは安堵の表情を見せ、「やっぱりわたし天才ですね」と江口に微笑む。「そうだな」と返す江口の表情は心なしか柔らかく、軽くあしらう姿に違いはないものの、第1話とは違う絆のようなものを感じさせてくれる。


 ハルと江口は今作の名コンビである。底抜けに明るいハル、それを軽くあしらう江口の構図は第1話から変わっていないが、「グランデ インヴルサ」に欠かせない存在になっていることは確かだ。ハルは江口に、江口はハルに支えられている部分がある。互いにないものを補い合えるからこそ名コンビなのだろう。


 また第8話では神出鬼没のウェイター・服部(佐伯大地)が印象的だった。自身の整った顔立ちやスタイルが引き起こす事態を回避するため、あえて気配を消していることが判明した。突如として姿を表す彼に従業員のほとんどが驚く中、ハルだけが「服部さん?」と気配を感知することができるのも面白い。「グランデ インヴルサ」が大逆転を起こすとき、彼が気配を消し続けるかどうか気になる。(片山香帆)